加納則章(かのうのりあき)『明治零年 サムライたちの天命』あらすじと感想!「生への大義」

 

今回ご紹介する一冊は、

加納 則章 (かのう のりあき)

『明治零年 サムライたちの天命』

です。

 

「明治維新における侍の

大義と存在について」

をテーマにした歴史小説です。

 

尊王攘夷、討幕・佐幕、

大政奉還、開国、欧米化など、

 

まさに日本にとって

大きな転換期であった

明治維新において、

今までは当たり前に

存在していた

”武士”という存在が

当たり前では

なくなろうとしていました。

 

それを目の当たりにした時に、

その時の侍たちは

どう感じていた

のでしょうか、

 

侍は何に対して誇りを

持っていたのでしょうか。

 

新たな視点で

明治維新の本質を

紐解くからこそ、

 

今まで味わったことのない

侍の立場に立った時の

物悲しさや切なさを

感じることができる作品です。

 

それと同時に、

自分の人生に置き換えた時の

「今生きていることの大義」

について深く考えさせられます。

 

そんな自分の人生を

見つめなおすきっかけを

与えてくれる

特に印象に残った

3つのフレーズを

ピックアップし、

この作品のあらすじを

ご紹介していきます。

 

 

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加納則章『明治零年 サムライたちの天命』【戦さをせぬのが上策。新時代に侍の力は必要であるゆえに。】

 

明治維新の本質
武士の大義と存在を根底から問い直す
異色歴史小説

 

ご存知の通り、

西郷吉之助の言葉です。

 

そして、

これが西郷が考えていた

新しい時代に向けての大方針

だったのです。

 

新政府軍と旧幕府軍との

長期的な戦い・戊辰戦争から

江戸無血開城に至る

一連の大きな動きの中で、

 

西郷はこの方針を

固めていった

わけなのですが、

 

これに大きく影響を

及ぼしたのは

最後の将軍・徳川慶喜

のある言動

だったとこの物語では

描かれています。

 

勝との直接の談判の中で

それを聞かされた西郷は、

 

「徳川は腐っても、

武士としての最後の志は残っていたか」

 

と、慶喜の武士としての

志に心動かされるのです。

 

それまでは、

軍事力を用いて

一気に徳川を潰して

しまおうという考え

であった西郷の方針を

180度変えてしまった

慶喜の言動とは

何だったのか。

 

それはぜひこの本を読んで

知っていただきたいです。

 

そして、この方針とは

全く異なる考え

を示すのが

大久保一蔵でした。

 

かつては親友という

間柄だった西郷と大久保。

 

この両者の

考え方の違いが

この物語の最後で

大きなドラマ

起こすのです。

 

エピローグの西郷と

大久保の魂同士が

ぶつかり合う

やり取りは必見です。

 

 

 

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加納則章『明治零年 サムライたちの天命』【新しい時代にこそ、侍という『あたわり』を持つ者の課題が重要になる】

 

これは、この物語で

非常に重要な

役どころを担う

斎藤弥九郎という人物

の言葉です。

 

ちなみに

「あわたり」というのは、

宿命と意味合いの近い

氷見の言葉なのだそうです。

 

弥九郎は加えて

「悪を止めるために人斬りという悪をなすのが侍であり、また、剣を磨き学問を積むことで人を斬るという悪を
なるべく減らすという『あたわり』を仏から与えられたものが侍である」

 

と言っています。

 

異国から攻められる

という

今まででは存在しなかった

種類の悪が

目の前に差し迫っている

 

新しい時代には、

悪を止めたり、

悪を減らすことが

宿命である

 

侍は欠かせない存在だ

ということを

主張しているのです。

 

これは西郷も

同じ考えでした。

 

西洋流の自由や平等と

相反する忠義を

中心とした武士道の考え。

 

これが共存することは

できるのだろうか、

という、

これからの時代に向けての

重要な問いかけに、

 

浄土真宗の考えを

基に丁寧に

説得していく展開は

読んでいて妙に

納得させられました。

 

もし私がこの時代にいても

「やはり侍は必要だよ!」と

叫んでいたに

違いありません。

 

 

 

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加納則章『明治零年 サムライたちの天命』【命も要らず、名も要らず】

 

これも西郷という侍を

象徴する有名な言葉です。

 

あまりにも有名な

フレーズなので

私個人の感想を書くよりも、

この物語で

この言葉について

触れている部分を

引用いたします。

 

「侍の中には、死後の名誉さえ要らないという奴がいるんです。たとえ悪人だ罪人だと呼ばれても、自分の命が国の役に立つならそれでいいと思っている。主君を裏切ったように見えることをやり、(中略)だが、それをやった結果、国が滅びずに済んでいる。そいつのおかげだとは誰も思わないかもしれないが、よく考えれば、人々を救っている。そんな風に死んでもかまわないという侍がいるとしたら、これこそが本物なのかもしれません。自分の命を世の役に立てるためなら、汚名も恐れない。凄い覚悟だとお思いになりませんか。」

 

この物語の真相が分かる

最後の重要な場面で、

 

事件の真相を握る

ある侍に

この言葉を

投げかけるのです。

 

この言葉を受けた侍は・・・。

 

まるでドラマの最終回を

見るような

心打たれるシーンが

待っています。

 

果たして、

現代の政治家は、

そして今の自分は

ここまでの大義を持って、

 

覚悟を持って

生きているのでしょうか。

 

胸が痛くなる

ばかりですが、

この言葉を常に

心の中に留め、

 

少しでも侍のように

誇り高く

生きたいと思えるように

なりました。

 

 

 

 

 

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