伊岡瞬『悪寒』感想とあらすじ!おすすめのイヤミス作品

 

今回ご紹介する一冊は、

伊岡瞬(いおか しゅん) 

『悪寒』です。

 

著者の伊岡さんは、

ミステリーや推理小説を

中心とした作品が

人気の作家さんです。

 

作家になる前は、

広告会社に勤務

していました。

 

本作は、大手企業で働く

会社員が不運な事態に

巻き込まれ、

翻弄されていく様子が

描かれています。

 

騙されやすく良い人

なのだけれど、

ちょっと鈍感すぎてもどかしい。

 

そんな中年男性が主人公です。

 

会社内での上司からの圧力

だったり、

家族とのすれ違いだったり。

 

ちょっと胸が痛くなる部分も

ありますが、

その痛烈さにどんどん

引き込まれていく

ストーリーです。

 

2019年の

啓文堂書店文庫大賞第1位

に輝いた話題作です。

 

あらすじと見どころを

ご紹介させていただきます。

 

 

 

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伊岡瞬『悪寒』 妻が殺人犯に?

 

 

憎んでいた上司が殺された。犯人は、自分の妻だった──。
絶望の先にあるのは愛か、それとも……。ベストセラー『代償』の著者による、緊迫の長編ミステリ。
薬丸岳氏推薦!

大手製薬会社社員の藤井賢一は、不祥事の責任を取らされ、山形の系列会社に飛ばされる。鬱屈した日々を送る中、東京で娘と母と暮らす妻の倫子から届いたのは、一通の不可解なメール。〈家の中でトラブルがありました〉数時間後、倫子を傷害致死容疑で逮捕したと警察から知らせが入る。殺した相手は、本社の常務だった──。単身赴任中に一体何が? 絶望の果ての真相が胸に迫る、渾身の長編ミステリ。

 

製薬会社の販売促進部で

働いていた藤井賢一は、

担当部署が起こした

トラブルの責任を

とらされることになり、

東北の子会社に

飛ばされてしまいます。

 

系列店とも言えないくらい

の小さな職場で、

上司に嫌味を言われながら

過ごす日々。

 

期限付きの出向のはずが、

東京に戻れる様子は

まったくありません。

 

職場の若い女性からは、

しつこくつきまとわれるし、

東京で上司に守って

もらえなかった経験から

人間不信気味になっていました。

 

そんななか、

東京に残した妻の倫子(のりこ)から、

おかしなメールが届きます。

 

〝家の中でトラブルがありました〟

 

意味深な言葉から始まるメールは、

妻が送ったとは思えないほど、

要領を得ていない内容でした。

 

 

慌てて東京に戻ろうとした

賢一の元に、

今度は警察を名乗る男から

の電話が入ります。

 

〝藤井倫子を緊急逮捕しました〟

 

信じられない言葉に

賢一はタクシーの中で

凍り付きます。

 

妻の倫子は、

賢一が勤めていた本社の常務を、

どういうわけか賢一の自宅で

殴り殺していたのです。

 

 

 

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伊岡瞬『悪寒』 歪み始める家族との信頼関係

 

東北への出向後から、

賢一への態度が

変化していた倫子と、

娘の香純。

 

東京に頻繁に

戻らなくて良いとか、

急用でなければメールで

連絡するようにと

言われてしまい、

 

賢一は家族から除け者に

された感覚を味わいます。

 

そして同時期に娘の香純から

届いた「絶好宣言」のメール。

 

自分は、いったい何をしたのか?

混乱するだけで、

その原因をしっかり探る

余裕はありません。

 

それに、なぜ、常務が

賢一の家にいたのか?

 

倫子の逮捕後から見えてくる、

知らなかった妻の秘密。

 

身近に思っていた家族は、

実は思いもよらない顔を

持っているのかもしれない。

 

そんな疑念が浮かび始めます。

 

事件後から協力してくれる

義理の妹・優子も、

なにやら大事なことを

隠している様子です。

 

理不尽すぎる左遷を

受け入れてしまったり、

すぐに東京に戻れるという

上司の言葉を鵜呑みにしたりと、

ちょっと情けない賢一が

終始もどかしいです。

 

どんどん明らかになる

思いがけない新事実に、

賢一の生活はかき乱されていきます。

 

穏やかに見せかけて、

実は短気だと周囲の人から

性格を読まれてしまっている

賢一は、

少し気の毒にも思えてきます。

 

 

 

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伊岡瞬『悪寒』 人間のもつ闇が盛りだくさん!

 

作中では、

上司からのわかりやすい

パワハラや、

圧力に逆らえない会社員の

立場の苦しさなどが

リアルに描かれています。

 

おまけに家族との距離も

できてしまいます。

 

世の中のサラリーマンが

抱えるストレスが、

これでもかと詰め込まれて

いるので、

読んでいてちょっと

痛々しい内容です。

 

灰色の目の前が、

度重なる不運に覆われて

どんどん暗くなって

いくような状態です。

 

倫子が起こした事件後は、

力になってくれる弁護士の登場や、

信用できるようで、な

かなか本心のわからない

刑事など、

興味深いキャラクターも

登場します。

 

罪を認めていた倫子ですが、

裁判開始になって、

真犯人候補が登場?

 

しかも、

候補は1人や2人ではなく、

物語は急展開を迎えます。

 

常務を殺したのは、

いったいだれなのか?

 

本当のことを話しているのは、

いったいだれなのか?

 

結末は、

ちょっとゾッとするような

人間の怖い一面が浮き彫りになり、

最後の最後まで

目が離せない展開です。

 

裏切られた!という思いで、

タイトルの通りに悪寒に

震えるラストになっています。

 

ぜひ一度、

手に取ってみてください。

 

 

 

 

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