芦沢央『悪いものが、来ませんように (角川文庫)』本の解説・感想とあらすじ!

 

今回ご紹介する一冊は、

芦沢 央(あしざわ よう)

『悪いものが、来ませんように』

です。

 

まるでホラーのような

タイトルですが

内容的にはミステリー、

それもイヤミスと

言われる作品です。

 

著者の芦沢央さんは

数々の話題作を書かれて

評価も高く、

イヤミスジャンルでは

まず名前をあげられる作家

であられます。

 

本作品ではイヤミスジャンル

だけでは

収まりきらない推理作家

としての著者芦沢央さんの

力量をまざまざと

見せつけられました。

 

単純に推理していく

だけではなく

(それだけでも楽しめますが)

女性目線の女性ならではの

思考を通して

 

投げかけるありがちな問題

についても

独自考察を交えて

紹介したいと思います。

 

 

 

 

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芦沢央『悪いものが、来ませんように』 あらすじ

 

 

助産院の事務に勤めながら、紗英は自身の不妊と夫の浮気に悩んでいた。誰にも相談できない彼女の唯一の心の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も母や夫と理解し合えず、社会にもなじめず紗英を心の支えにしていた。二人の強い異常なまでの密着が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺体で見つかったのだ。これをきっかけに二人の関係は大きく変わっていく! 一気読みが止まらない、そして驚愕のラスト! 「絶対もう一度読み返したくなる!」「震えるような読後感!」と絶賛された傑作心理サスペンス!(解説:藤田香織)

 

 

育児中の奈津子、

反対に子供に恵まれず

どちらかというと奈津子に

かばわれているような

関係の紗英

 

二人の女性はとても

仲が良く

お互いの生活の話を

気安くする日常を

送っていましたが、

 

紗英が夫と連絡がとれず

実は殺害されていたという

事実から

お互いを取り巻く環境から

感情が大きく変化を

見せていきます。

 

奈津子、紗英、他の人と

いう感じで視点を変えて

の話の進め方です。

 

大部分が奈津子、

紗英なので

女性目線の感情やセリフ

が多いです。

 

内容的にも夫婦から親子、

つまり妻から母親という立場

での視点です。

 

 

 

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芦沢央『悪いものが、来ませんように』 違和感

 

必ず読み返したくなる

騙される

との帯のセリフや

書店員のコメントから

構えて読んでも

やられた感が大きいです。

 

思えば最初から

色々なところに伏線、

布石があったように

思いますが

とにかく読まされます。

 

引っ張られてると

いってもいいかもしれません。

 

読み返しても一読されても

かまいませんが

私的に感じた違和感は

もうなんといっても

奈津子と紗英の関係です。

 

特に昼寝。

 

親友と呼ぶにふさわしい人や

その関係を目にしてきましたが

昼寝は経験したこと

がありません。

 

正確にいうとなくはない

ですが

日常的でないというか

寝食を共にしていない親友と

軽く昼寝はしません。

 

この時点でイヤミスと

いうよりは

キモミスになっていました。

 

それではネタバレで

たとえ奈津子と紗英の様な

間柄でも

逆にもっとありえない

気がします。

 

意識がない時であれば

ありえたかもしれませんが

結婚して別の所帯の…。

 

やはりありえません。

 

かといってここで気づくか

というとスルーしていますね。

憎らしいほどの違和感を残して。

 

 

 

 

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芦沢央『悪いものが、来ませんように』 女性同士

 

女性同士というのは

デリケートで難しいです。

 

仲がよい同士の人数によっても

自分の立ち位置が微妙だったり、

 

またその居場所を確保するために

見苦しい駆け引きが

あったりします。

 

確立したところで

いつおびやかされるか

崩れるかという不安も

あったりで

女性でいることは

なかなかハードなのです。

 

どんなに仲の良い友達でも

一緒にいる時間は

限界があるといいます。

 

たとえ母娘の関係で

あってもです。

 

思えば最初から

奈津子と紗英は

その時間が無限に思えました。

 

そのあたりでも

二人の関係は

異常だと言えます。

 

 

 

 

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芦沢央『悪いものが、来ませんように』 タイトルが意味するところ

 

「この子のもとに、

幸せばかりが

待っていますように。」

 

子を持つ親は

この世の全ての悪から

我が子を守りたい気持ち

を少なからず

誕生の際には

意識するのではないか

と信じています。

 

本著に登場するキャラにも

毒母なのではないかという意見

も聞かれますが

 

自身も毒母の意識があるので

そこはいきすぎが

あるかもしれませんが

あまり同意できません。

 

全ての悪から

守りきるのは不可能です。

 

自分の力で乗り切る術を

身に着けてもらいたいので

静観するとか相談されれば

アドバイスするくらい

までなのです。

 

ああしろこうしろ

言ってしまっては傀儡で

人は実の子であっても

決して思い通りには

ならないのです。

 

でも願うのは

当然のことなのです。

 

人間の成長を見るに

間違いはあっても

正解はありません。

 

奈津子と紗英は

思いあうあまり

依存度がお互い高すぎて

捻じれた関係に見えますが

願い的には純粋です。

 

 

 

 

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