中村颯希『神様の定食屋』あらすじと感想!美味しそうな料理と心がほっこりする小説

 

今回ご紹介する一冊は、

中村颯希(なかむらさつき)

『神様の定食屋』です。

 

中村颯希さんは

2016年『無欲の聖女』で

デビューした小説家です。

 

彼女の作品には

『シャバの「普通」は難しい』、

『貴腐人ローザは影から愛を守りたい』、

『地獄の沙汰もメシ次第』等があります。

 

その作品はすべて不思議な世界が

描かれているだけでなく

食事に関する話が多いようです。

 

食べるのが大好きな私も

文字を読みながら楽しめて、

ついその料理を作りたくて、

ついこの間もチキン南蛮を

作ってみました。

 

それだけでなく登場人物の

人生における価値観なども

しっかりと描かれているので

 

感動のあまりまるで映画を

観ているように泣いて

しまう私がいます。

 

ただ中村颯希はそれぞれの作品で感動、

涙、それだけでなくしっかりと

笑いもあって飽きずに読める

作品となっています。

 

そんな『神様も定食屋』

を読んでどんな感動が

あるかお話します

 

 

 

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中村颯希『神様の定食屋』両親の死、神様との出会い

 

 

両親を事故で失った高坂哲史は、妹とともに定食屋「てしをや」を継ぐことに。ところが料理ができない哲史は、妹に罵られてばかり。ふと立ち寄った神社で、「いっそ誰かに体を乗っ取ってもらって、料理を教えてほしい」と愚痴をこぼしたところ、なんと神様が現れて、魂を憑依させられてしまった。料理には誰かの想いがこもっていることを実感する、読んで心が温まる一冊。

 

 

一般的なサラリーマン家庭だった

両親が5年前に脱サラして

定食屋を開いたのが「てしおや」です。

 

「てしおや」の由来は

手塩にかけた子供たちに

食べさせるような料理を

提供できたらという気持ち

で作られたお店です。

 

そのお店は駅から5分のところに

位置していて比較的盛況でした。

 

ある日休暇を取って旅行に出かけて

バス事故に巻き込まれて

亡くなってしまいました。

 

悲しみのなかでも高坂哲史の5歳の妹は

両親の店を継ぎたいという気持ち

に答えるために会社を休職して

始めてみたものの

思うように料理は

うまくなりませんでした。

 

そんなある日に帰路の途中にある神社で

「なにかうまい手はありませんか」

とお賽銭も持たずに

話しかけてみました。

 

それなのに「承知した」と

答えてくれたのが神様との出会いです。

 

神様は哲史が体感的に

指導してもらいたいとか、

憑きっきりが望ましいと、

時には体を乗っ取ってほしいと

見上げた向上心だと感心します。

 

当然、哲史はそんなつもりではと

神社から逃げ去ろうとする一歩手前で

白い靄が立ちふさがります。

 

今後、様々な魂と結びついて

いくこととなります。

 

多くの奇跡的な出会いによって

料理が上達するなんて

本当にうらやましい限りです。

 

 

 

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中村颯希『神様の定食屋』チキン南蛮

 

始めに憑いた魂は

親切で少しお節介な時江さんで

両親と同じバス旅行の事故で

亡くなったそうで

これも何かの縁かもしれません。

 

時江さんは残してきた息子(敦志)

のことを心配していて

何とかできないものかと

思っていたのです。

 

そんなとき神様に

「ここによいからだがある」

と声をかけてもらい

哲史の体に乗り移って

料理をしなさいと

声をかけられたそうです。

 

神様がいうには料理ができる頃

に逢いたい人に

引き合わせてあげるので

一緒にしっぽりと食事をして

成仏するようにとお言葉を

いただいたとのことです。

 

哲史はそんな時江さんの

得意料理でもあり看板メニュー

でもある“チキン南蛮”を

作りはじめようとしたときに

彼女の息子(敦志)がやってきました。

 

彼は会社の飲み会の帰りで

少し酔っていたようでした。

 

それを見抜いた時江さん指導のもと

おしぼりとお水を持っていくと

ちょうどのどが渇いていたと

喜んでくれました。

 

できあがった“チキン南蛮”を

食べる彼の姿は時江さんのしつけ

もあり三角食べをして

綺麗な食べ方をしていました。

 

その姿をみていた哲史も

お腹が空いていることに

気づいたのと時江さんの提案もあり

一緒に食事をすることとなりました。

 

食事をしながら母への気持ちと

自分が就職出来たことを

母に見せられない悔しさについて

話してくれました。

 

それに対して哲史は時江さんが

教えてくれたもので

いつも敦志が食事を残さずに

食べてくれたことを喜んでいた

と告げて彼を勇気づけます。

 

彼の「ごちそうさまでした」

に対して時江さんは哲史を通して

「頑張ってね」と伝えます。

 

こういう形でも親子の愛を

伝えられるのは

なんかうらやましくなります。

 

 

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中村颯希『神様の定食屋』両親との再会

 

哲史は時江さんとの出会い以来、

ほかの人に憑かれて

修行した経験もあり

料理の腕を上げていきます。

 

料理の腕もさることながら

妹(志穂)の頑張りもあり

「てしおや」は盛況でした。

 

そんなある日、志穂狙いのお客がいて

その客のしつこさに

「うちは定食屋で定員は

メニューにないんですよ」

「食事をしないんなら、

帰ってくれませんか」

を半ば強制的に退店させる

という事件がありました。

 

その後その客は仕返しに

嫌がらせツイートを拡散したのです。

 

そのせいもあり「てしおや」は

閑古鳥が鳴くという

状態に追い込まれます。

 

そこで哲史は志穂を連れて

神様の元に訪れて

両親と再会できるように願います。

 

彼らの両親も兄妹に伝えたいことが

あったのでいち早く憑くことを

望んでいました。

 

お店に帰ってきた親子は

早速看板メニューの唐揚げ定食を

食べてもらうために

親子料理教室が始まりました。

 

そこで本当の「てしおや」の由来

を知ります。

 

看板メニューの唐揚げは

志穂が好きでチキン南蛮は哲史が好きだから

決まったことを知ったときには

兄妹はそんな単純なという気持ちと

感動で涙してしまいます。

 

家族が唐揚げ定食を仕上げる頃に

哲史に憑いた人と関係のある人たちが

嫌がらせツイートを

心配してやってきました。

 

そんな姿に両親は兄弟に目を細めて

安心したのは間違いありません。

 

結局のところあのツイートは

自作自演というのがばれたことで、

逆に犯人が非難されることとなり

この事件は解決となりました。

 

神様のいうとおり、

哲史は憑いた魂に励まされていて

定食屋は客の奴隷ではなく

単に相手を喜ばせたいから

頑張るだけですべてに返事が

返ってくるわけではないけど

ささやかな反応を返して

くれる人がいます。

 

そしてそれをうれしい

感じられる自分がいて

それでいいと思うその気持ち

に私自身共感しました。

 

 

 

 

 

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