伊集院静『大人の流儀』内容と書評!強くやさしく生きる方法とは?

 

今回ご紹介する一冊は、

伊集院静

『大人の流儀』

です。

2011年に出版されて以来、

シリーズ累計140万部の大ベストセラー本

となるほど多くの方に読まれてきた「大人の流儀」

“弟に奥様と大切な方々を亡くされてきた作家が語る、

強くやさしい生き方“と銘打たれた本です。

歯に衣着せる物言いも多く、

ともすると頑固で癖のあり、

今の世の中に文句ばかり

言い続けているようにも

捉えかねない内容が続きますが、

最後まで読んでみるとなぜか、

作者の人間らしさ、

強いところと弱いところが

浮かび上がってくるような、

そんな感覚に襲われる本です。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

「いっぱしの大人たるもの、こうあるべき」

 

苦難に立ち向かわなければならないとき。人に優しくありたいと思ったとき。どうしようもない力に押し潰されたとき。自分のふがいなさが嫌になったとき。大切な人を失ってしまったとき。とてつもない悲しみに包まれたとき。こんなとき、大人ならどう考え、どう振る舞うのだろう。二十歳で弟、三十五歳で妻・夏目雅子との死別を体験してきた作家が語る、強くやさしく生きる方法――。シリーズ累計140万部の大ベストセラー第一弾!

 

この本の本編は、

作者である伊集院静さんが考える

「大人」についてのエピソードが

多く綴られています。

良いものに出会ったとき、

良い人に出会ったとき、

ハプニングに出会ったとき、

そして何もかもが嫌になってしまったとき。

そんなとき、「大人」ならばどう振る舞うべきか。

もし友人がそうなってしまったら、

そんな言葉をかけどんな背中を見せるべきか。

ご自身の具体的なエピソードも交えながら、

伊集院流の「大人の振る舞い方」

が多く紹介されています。

本編は春・夏・秋・冬と4つの季節

に分けて綴られています。

大人の流儀が季節によって変わるわけ

ではないのですが、

春には心が浮足立つ若者に向けたメッセージを、

夏には墓参りや結婚式といった人生のイベント

にまつわる言葉を、

秋には味覚にまつわる大人の振る舞いを、

そして冬には年の締めくくりを過ごす大人の流儀を、

というように、

季節にまつわるエピソードが纏められています。

エピソードの中には、

春にハナミズキが咲いていたり、

冬は雪の中を過ごす様子が描かれていたりと、

エピソードの端々にも季節を感じる情景

が描かれています。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

「時代錯誤ととるか、古き良き時代の考え方ととるか」

 

どの年代の方が読むかによって、

この本は評価が分かれるだろうと思います。

団塊世代あるいはそれ以上の年代の方であれば

「そうだった、そうだった」と

同意・共感できる部分が多くあるの

ではないでしょうか。

一方でそれよりももっと若い世代

の方が読まれると「考え方が古すぎないか」

「時代錯誤では」「今どきは通用しないと思う」

といった感覚を持たれる方もいらっしゃるのでは、

と思います。

確かに、この本に出てくる「大人の流儀」の多くは、

いわゆる昭和的な発想と分類されるものかもしれません。

紹介されるエピソードや考え方の根底には男尊女卑、

年功序列、父親が絶対的に偉いとする考え方、

パワーハラスメント、

ブラック企業推進的な休み不要の考え方など、

昔は当たり前でも今の時代にそぐわないと

されるものを多く伺うことができます。

ですが、これを「昔と今は違う」と

簡単に切り捨ててしまうのは、

あまりにもったいない気がしました。

確かにこの本の考え方のすべてが今の時代に

通用するものではないかもしれないけれど、

古き良き時代の考え方として知っておくのは

無駄じゃないのでは、と。

またどこかの企業で働かれている方なら、

団塊世代もしくはそれよりも年配の方と

働く機会が少なからずあると思います。

そういった方々にとっては、上司や先輩の考え方・価値観を

理解するという意味で

読んでみても良いのでは、と思います。

 

 

スポンサーリンク

 

 

「強い人間と弱い人間」

 

実はこの本は巻末に、

作者のはじめの奥様である

夏目雅子さんについての章があります。

それまでどこのメディアでの特集取材も

断ってきた作者が、

奥様が亡くなられてからほぼ初めて

語られた内容とのこと。

奥様との出会いから闘病生活までの

様子が綴られています。

本当の病名は知らないまでも

大きな病気をしていることを知り、

苦しい治療を懸命に耐えた奥様。

その強さを目の当たりにしながら、

ご自身の弱さや不甲斐なさを日々実感していたような、

そんな様子が文章から溢れていました。

前章まで強気で言いたいことを言っていた作者が、

ここにきての弱気な様子に、

人間らしさのようなものが感じられます。

何となく「昭和を生きたオジサンの戯言」的な雰囲気

だったところから、

巻末を読み終えた時点では

「意外と泥臭いところもある、人間らしいオジサン」

と印象が変わるような、

不思議な感覚があります。

この本を手に取られて、

もし途中で「なんか面白くないな」と思われても、

ぜひ最後まで読んでみてください。

ここまで読んで初めて、

この本の魅力というか意味のようなもの

が分かると思います。

 

 

 

この記事を読んだ方はこちらもオススメです↓

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

おすすめの記事