今回ご紹介する一冊は
ジェフリー・ディーヴァー 著
『ネヴァー・ゲーム』です。
父の教育や天性の才能によって、
「追跡」のプロとなった男
コルター・ショウ。
彼はその能力を活かして
懸賞金のかかった行方不明者や
逃走犯を見つけ出す
懸賞金ハンターとして
生計を立てていた。
ある日彼が追跡することにしたのは、
1万ドルの懸賞金の
かかった少女ソフィー。
彼女の痕跡を追いかける彼の身に、
様々な災難が降りかかる。
一体誰が、何の目的でショウに
攻撃をしかけるのか。
そして様々な痕跡がショウを
どこへと導くのか。
名探偵コルター・ショウを
主人公とするシリーズ
第一作品目の今作、
読んでみた感想を綴っていきます。
目次
ジェフリー・ディーヴァー『ネヴァー・ゲーム』 怒濤のラスト
あのディーヴァーが新シリーズを始動!
シリコンバレーで失踪した娘を探せ。懸賞金のかかった事件に挑む
人探しの名人にして流浪の名探偵ショーは狡猾な連続誘拐事件を追う!姿を消した人間を追跡する名人、コルター・ショウ。失踪人や逃亡犯に懸賞金がかけられると、
彼は現地に赴いて調査に着手する。つねに冷静に状況を分析する頭脳と、父に叩き込まれた
サバイバル術で多くの事件を解決してきた。今回ショウはシリコンヴァレーに住む男の依頼で、
失踪した娘を探すことになった。忽然と姿を消した彼女は無事なのか?非協力的な警察に
悩まされながら調査を続けるショウは、事件の背後にはビデオゲームが絡んでいることを知る。懸賞金を求めて難事件に挑み、不可解な死を遂げた父の謎を追う名探偵コルター・ショウ。
リンカーン・ライム、キャサリン・ダンスに続く新ヒーロー誕生。時限爆弾のようなサスペンスに
意外な真相を仕掛けたシリーズ第一作。
本作品を読んでいて凄いと思ったのは、
ずーっと面白い所です。
いわゆる中弛みというものが無く、
むしろずっと読んでいたいと、
ずっとこの世界に浸っていたいと、
そう思わせるほどに
読むのが楽しかったです。
そして特に凄いのが終盤です。
ミステリーやサスペンスの終盤といえば
「あぁ~、そういうことだったのかぁ~。面白かったなぁ~。」
という心地の良い納得の中
穏やかに終わっていくものが多い中、
本作は最後の最後まで
駆け抜けていくような疾走感があり、
最後の最後まで
ドキドキさせてくれました。
誘拐事件のことや、
この事件で関わった人のこと、
ショウの家族のこと、
ショウのこれからのこと。
様々な事柄が乱立するように進行し、
あるものは次作へと繋がり、
あるものは本作品で終わりを迎えます。
その一つ一つの内容が刺激的で
ありながら筋が通っていて、
読んでいてそういうこと
だったのかと感服しました。
きっと読んでみると、
楽しみながら終盤まで読み進められ、
終盤を読むと次回作が
読みたくなると思います。
二作品目はすでにアメリカで
刊行されているらしいので、
早く翻訳されてほしいところですね。
ジェフリー・ディーヴァー『ネヴァー・ゲーム』 ゲーム
ゲームは好きですか?私は大好きです。
中学生の頃に
パワプロクンポケット4にドハマりし、
中三の夏休みは勉強と部活と
パワプロクンポケット4の
アルバム集めの3つに費やしました。
そこまでハマったのには
理由があります。
私は小学二年生くらいの時に、
兄のパワプロクンポケット4の
サクセスをやらせてもらいました。
当時の自分にはあまりにも
難しいゲームでしたが、
なんとか甲子園に進出することで
クリアすることができました。
けれど、そのクリアでは多くの謎が
残されたままでした。
そして中学生の頃にもう一度プレイすると、
小学生の頃には辿り着けなかった
様々なルートでクリアし、
その度に様々なキャラクターの
背景を知っていき、
そしてこのゲームの物語の本当の姿
を見る事ができました。
それは子供向けゲームとは言えない程に、
大人にも刺さるメッセージ性があり、
社会人として働くようになった今でも、
このゲームのワンシーンワンシーンを
思い出す事で、
心が幸せな温もりに
包まれるようになります。
さて、本作品にはゲームというものの
要素がよく出てきます。
それも、まさに現代のゲームといったもの、
つまりゲーム配信についてのことです。
「今やゲームはプレイするものではなく配信するもの」
これは作中のゲーマーによる言葉です。
このゲームの現状が、
私には悲しいです。
ゲームをして生きていける世界に
なればいいなと思っていましたが、
購買意欲を高めることを
メインの目的にプレイを見せることは
どうもゲームを愛しているとは
思いづらいです。
こんなゲーム業界で、
これからの子供たちの中に、
パワプロクンポケット4のアルバムを集め、
物語やキャラクターの背景を
知っていく楽しみを
味わえる子達は居るのだろうか
と思います。
そんな穿った考えを
持っている私にとって、
この本のあるキャラクターは
凄い惹き付けられました。
そのキャラクターは
レトロゲームを長時間プレイし
、見た目はいかにもオタクで、
周りからは現実の見えてない
精神的には子供とみなされています。
しかし、物語の終盤で彼と
主人公が話すシーンでは、
そんな彼が大人に見えるのです。
彼はゲームは面白ければ良い。
面白くなければならないと言い、
世界中の誰もクリアしたことのない
ステージを最初にクリアしようと
奮闘していました。
その真っ直ぐな姿を、
私はいとおしく感じました。
今のゲーム業界を面白いと思いますか?
私は正直しっくりこない部分もあります。
ゲームをするというものの中に、
客寄せをして収益を得ることと
してのものもあれば、
ただただ楽しいというものもあります。
ゲームに夢中になる人間が、
それで収入が発生しているから
という理由で馬鹿にされないのではなく、
その夢中になる姿勢が魅力的だという認識
が広まることで
馬鹿にされなくなってほしい
と思いました。
ジェフリー・ディーヴァー『ネヴァー・ゲーム』 コルター・ショウ
ネヴァーゲームは
名探偵コルター・ショウを
主人公とするシリーズ作品の一作品目です。
つまり、コルター・ショウに
魅力を感じるのであれば、
ずっと楽しめるということです。
私はコルター・ショウが
とても好きになりました。
特に好きなのが「追跡」を
している時の彼です。
小さな手がかりも見逃さず、
追いかけている人の心理を思い描き、
何が起きたかを追想するシーンが
とても面白く、
またショウの知恵が冴え渡り
かっこ良かったです。
そして、「追跡」というものの面白さ
を存分に楽しめました。
あらゆる痕跡を辿っていき、
目的地へと着こうとする
その過程が面白く描かれています。
車の車輪の跡から携帯の落とし物
を見つけ、
そこから血の付いた石にたどり着く。
手がかりから手がかりを見つけ、
そこから更に手がかりを見つけ
目的とするものがどこにあるかの
推測を立てる。
探偵ものが好きな人には
たまらない内容になっていました。
そして事件の真の黒幕を追跡する時、
ショウの人生によって
培ってきたあらゆる技術や、
心が彼を真実へと導いていくのです。
様々な危険があることを承知の上で、
誰かのために小さな事柄を
丁寧に組み合わせて追跡していくコ
ルター・ショウが私は
大好きになりました。
ぜひそんな彼の姿を、
あなたも見てみてください。
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