【書評】落合恵子『明るい覚悟 こんな時代に』あらすじと感想!作者の現在

 

今回ご紹介する一冊は、

落合恵子

『明るい覚悟 こんな時代に』

です。

 

もちろん作家ではありますが、

大学卒業後に就職したのは放送局で、

アナウンサーとしての

ご活躍もさることながら、

他にもいろいろな肩書

を持つ落合恵子さん。

 

その一つに、

1976年から手掛けている

児童書籍専門店「クレヨンハウス」

の主宰というものがあります。

 

人々の心に沁みわたる語り口調で、

NHKラジオでも、

絵本を紹介するご自身の番組

を持っておられますが、

本書『明るい覚悟 こんな時代に』

の中でも、

そのテーマに合った絵本が

随所で紹介されており、

それが落合さんらしくて

とても素敵です。

 

また落合さんといえば、

認知症のお母さまを

7年間にわたり介護されて

こられたことでも知られ、

その点にも本書では

触れられております。

 

その一方で、

原発反対を強く訴え、

「さようなら原発」の

主要メンバーの一人として、

デモや集会に積極的に

参加しておられます。

 

そんな落合恵子さんからの

等身大のメッセージが

たっぷりと詰まった本書は、

副題でもある

「こんな時代に」こそ、

まさに手に取って

いただきたい一冊です。

 

 

 

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落合恵子『明るい覚悟 こんな時代に』 あらすじ

 

 

著者は、75歳になった。友人知己の病気・喪失はこたえるし、もの忘れもひどい。
でも加齢からの贈りものもある。
22歳でラジオ局に就職したときの自分に、言ってやりたいことがある。年とともに、他者との違いを強調せず、自分の人生を諦めない、心からの共感と敬意をこめて「ただの人」を最高と思うようになった。小さな食堂の女主人、シャツづくりの洋服屋さん、介護休暇をとって母を看取った親類の男性。
どんな時も平常心を保つ生活のたのしみを見捨てない。今朝の味噌汁を丁寧につくり、小さな庭で土をいじり、本のなかの、ある頁の、ある一行を見つける。
「手仕事」の大切さ、暮らしの支えがあるからこそ、世の理不尽に抵抗ができるのだ。
「明るい覚悟」を支える、いまも心に響く22冊のとっておきの絵本も紹介する。

 

 

74歳という年齢で

女性の一人暮らし。

 

体は若い頃のように

思うようには動かず、

友人からも病気だ入院だ退院だ

という知らせが増えてきました。

 

7年間介護した

認知症の母が世を去り、

これから自分自身の時間を

どう使い、

自分自身とどう向き合っていくか・・・

 

そう考えた時、

それは何も特別なことではなく、

日々の暮らしの中の小さな喜び

を発見し、

手仕事を大切にし、

不安や戸惑いの中で

自分を信じ、思いを伝える、

 

そして、年齢を重ねてきたからこそ

脱げるものがある、放てるものもある、

 

そんなことを教えてくれる

絵本が紹介されてもいます。

 

日常的に誰もが行っている思考や行動、

そのうち「洗う」「忘れる」「着る」

など22個の動詞をタイトルとして、

それぞれひとつずつの動詞に

筆者の思いが綴られていきます。

 

なぜなら人生とは動詞で

できているからです。

 

しかも現在はこんな時代。

 

希望のかけらを集めてつなぐこと

が生きることであり、

暮らすことであると考える筆者は、

 

旬の食材を丁寧に食し、

庭の植物を愛し、

すべての生命を尊び、

正しいことを正しいと言い、

友人を大切にする生き方

をしています。

 

 

 

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落合恵子『明るい覚悟 こんな時代に』 絵本は子どものためだけのものじゃない

 

以前、読み聞かせの

活動をしていた頃、

子どもたちに絵本を読むと、

大喜びをしたり、

何か発見したらしいことを

一生懸命訴えてきたり、

その反応がとても面白く、

楽しくてたまらなかったのですが、

 

子どもの観点が大人の私とは

違っていることも新鮮な学びであり、

素敵な絵本に出逢うことは

大きな喜びでした。

 

本書では絵本が何冊か

紹介されていますが、

落合恵子さんは絵本専門店の

主宰をされているだけあって、

選書が素晴らしいです。

 

たとえば『Life ライフ』という絵本。

 

ライフというのは

お店の名前なのですが、

そのお店にはスタッフがおらず、

商品の売買も行われていません。

 

お店に置いてある品物の中で

気に入ったものがあれば持っていく、

その代わりに自分も何か置いていく、

そんなお店なのです。

 

そのお店での物の行き来や

それにまつわる人の思いが

描かれているお話で、

今のギスギスした私たち大人の

ささくれ立った心が

削ぎ落されるような絵本

だと思いました。

 

有名な『どうぞのいす』という

絵本もまた、相手の為に、

相手を思った行動を次々に

取る動物たちのお話で、

ほのぼのとしたオチが

やさしい笑みを誘います。

 

落合さんが、こんな時代にこそ

大人に読んでほしいと思って

挙げられた絵本の数々には、

まさに落合さんの望む平和や

希望そのものが映し出されている

ものばかりのように思われます。

 

 

 

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落合恵子『明るい覚悟 こんな時代に』 あなたにとって大事なものは何ですか

 

日課としておられる、庭のお手入れ。

 

植物がどのエッセイの中にも

登場します。

 

読んでいると私も花を育てたいと

つい思ってしまうほど、

落合さんのお花への愛情がありと

あらゆるページから溢れています。

 

歴代の愛犬たちとの思い出、

エピソードも愛情たっぷりですし、

7年間介護をされたお母さまとの

日々の様子からも

涙が出るほどの愛情を感じます。

 

友人知人を大切に思っておられる、

そこにも愛情があり、

四季を重んじ旬の食材を丁寧に

調理していただく、

それも愛情です。

 

原発反対運動やデモに

参加されているなどと聞くと、

なんだかとても勇ましく、

強くて、怒りの逞しさばかりが

先走ってしまいますが、

なぜそれをするのか?・・・

 

そこには、未来を思う、

子どもたちを思う、

すべての生命を思う、

そんな愛情が根底にあるのが

わかります。

 

絵本もそうです。

子どもたちへの、

そして大人たちへの、

教訓ではなく愛情。

 

「自分にとって大事なほんの僅かなものを握りしめて暮らすことであり、自分が望む自分になっていく過程を惜しまず、省略しない、自分との約束」

 

こそが「明るい覚悟」だと語る

落合恵子さん。

 

人生の先輩として見習うべきところ

がたくさんあり、

私も自分が望む自分になっていく

過程を一歩一歩しっかりと

踏みしめて歳を重ねて

いきたいと思いました。

 

 

 

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