カツセマサヒコ『明け方の若者たち』あらすじと感想!甘酸っぱくくすぐったい「人生のマジックアワー」

 

今回ご紹介する一冊は、

カツセマサヒコ

『明け方の若者たち』です。

 

夜が明け、

明るい世界に

飛び出していく若者たち。

 

キラキラしているように見えて、

実は内側にいろんなものを

抱えています。

 

誰しも一度は通る、

甘酸っぱいような

くすぐったいような懐かしい道。

 

青春時代を過ごした方みなさんに、

特に初心を思い出したい、

いつまでもピュアでいたい、

 

そんな方に読んでほしい

一冊です。

 

 

 

 

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カツセマサヒコ『明け方の若者たち』 高円寺の深夜の公園と親友だけが、救いだったあの頃。

 

安達祐実、村山由佳、尾崎世界観、紗倉まな、今泉力哉、長谷川朗、推薦!
近くて遠い2010年代を青々しく描いた、人気ウェブライターのデビュー小説。

「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑」?
その16文字から始まった、沼のような5年間。

明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った彼女に、一瞬で恋をした。本多劇場で観た舞台。「写ルンです」で撮った江の島。IKEAで買ったセミダブルベッド。フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり。
世界が彼女で満たされる一方で、社会人になった僕は、"こんなハズじゃなかった人生"に打ちのめされていく。息の詰まる満員電車。夢見た未来とは異なる現在。深夜の高円寺の公園と親友だけが、救いだったあの頃。

それでも、振り返れば全てが、美しい。
人生のマジックアワーを描いた、20代の青春譚。

ドキドキする。好きな人を想うときみたいに。
――安達祐実(俳優)
痛くて愛おしいのは、これがあなたの物語だからだ。カツセの魔法は長編でも健在。
――村山由佳(作家)
どうしても下北沢に馴染めなくて、逃げるように乗った井の頭線。通り過ぎた明大前のしみったれたお前。お前にあの頃出会いたかった。
――尾崎世界観(クリープハイプ)
ひたむきに生きるとは、こういうことなのだと思う。
――紗倉まな(AV女優)
人にフラれて絶望するという経験をせずに死んでいくのか、俺は。と絶望したし嫉妬した。
――今泉力哉(映画監督)
「こんなはずじゃなかった」未来を生きている大人は共感しかない。甘い恋愛小説と思って読んで後悔した。
――長谷川朗(ヴィレッジヴァンガード下北沢 次長)

 

 

就職活動を終えてから

大学を卒業するまでの間、

いわゆる「内定者」

のシーンから、

物語は始まります。

 

「好きな仕事を思い切りできるはず」

「キラキラした憧れの社会人になれるはず」

 

と思い描きながら

社会人デビューするものの、

現実は思い描いたとおり

にはいかない。

 

それでも「じゃあ働かない」

なんてわけにはいかず、

こんな毎日で良いのかと

自問自答しながら

毎日会社に通い続けます。

 

予期せぬタイミングで

出会った最愛の人。

 

ワクワクとは程遠い

日々の中で唯一、

夢を語り合えた親友。

 

自分にとってかけがえの

ない人たちとの

関わり合いを通じて、

 

自分の存在意義や

心の奥底にある感情、

そして自分というものが

少しずつ変化していっている

ことに気付いていきます。

 

変わっていくことに抵抗しつつ

「そういうものなんだな」と

受け入れて、

また前に進んでいきます。

 

様々なエピソードが

終わっては始まり、

終わっては始まり。

 

作品が終わっても、

主人公たちの日々は

続いていきます。

 

楽しいことばかりじゃないけど

辛いことばかりじゃない。

 

自分ばっかり辛いようでも、

実はみんなどこかで頑張っている

 

そんなことを感じさせるラスト

になっています。

 

 

 

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カツセマサヒコ『明け方の若者たち』 大人になる、ということ

 

「あの頃の自分はまだ

若かったなぁ」と、

30代もしくはそれ以上の方なら

一度は思うことが

あると思います。

 

この本はそんな

「まだ若かった」頃のことが、

とても丁寧に描かれています。

 

本気で誰かを愛するということ。

誰かが自分の心の支えに

なってくれている

だけで強くいられること。

 

会社の歯車として働いていると

理不尽なことばかり、

思い通りにいかないこと

ばかりだが

それでも日々をこなして

いかなきゃいけないこと。

 

子供の頃に思い描いてた、

キラキラした大人の生活とは

かけはなれた毎日に

なっていたこと。

 

一つでも二つでも、

思い当たるフシがあると

いう方は多いのでは

ないでしょうか。

 

ド派手などんでん返しも、

巧妙に仕掛けられたトリックも、

読んでいる側が

びっくりするような

展開は何一つない。

 

けれどついつい

引き込まれて最後まで

読んでしまうのは、

 

昔の自分を重ねて

共感してしまうエピソード

が丁寧に描写されている

からだと、そう思います。

 

読み終わるときっと、

昔の自分を思い出して

「あの頃に比べれば、

今の自分は大人になったなあ」と感じて、

 

成長した喜びとピュアさを

置いてきてしまった

寂しさに包まれることでしょう。

 

 

 

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カツセマサヒコ『明け方の若者たち』 没入しないともったいない

 

本作品は、

多くの小説家が

高い評価をしています。

 

一方で本作を読んだ方の

口コミでは

「表現がわざとらしい」

「いかにもそれっぽい表現を

使っているのがくどく感じる」

といった内容がみられます。

 

読んでみた感想としては、

どちらもそうだな、と思います。

 

確かに、

カッコつけているような表現

も多く出てきます。

 

ですがそれは、

この本を読んでいる自分を

一歩離れたところから

冷静に見つめている

そんな状態なのではないかな

と思います。

 

ちょっともったいなと。

 

そうではなく、

主人公を自分自身に大いに重ねて、

作品の世界観にどっぷり浸かって

読んでほしいなと思います。

 

そうすると、大袈裟な表現も

気にならないどころか、

自分自身のあのときの出来事や感情

が蘇って懐かしくなるはずです。

 

ぜひ、丁寧な描写の本作品に

没入してみてください。

 

 

 

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