二宮敦人『最後の医者は桜を見上げて君を想う』あらすじと感想!映画化も

 

今回ご紹介する一冊は、

二宮敦人(にのみやあつと)

『最後の医者は桜を見上げて君を想う』

です。

 

2016年に発表された作品です。

著者は携帯小説サイトで

発表したホラー小説が話題になり

作家デビューをしました。

 

『!』シリーズはベストセラーとなり、

ホラー、ノンフィクション、

推理と他にもたくさんの作品を

発表しています。

 

初のノンフィクション作品

『最後の秘境、東京藝大:天才たちのカオスな日常』は

実際に藝大生を取材し書き上げた作品で

ベストセラーになっています。

 

今回紹介する

『最後の医者は桜を見上げて君を想う』

コミカライズ化されており

映像化も予定されているようです。

 

著者は作品を生み出す際の

モチベーションとして

『死にたくない。生きていくために誰よりも努力して、良い作品を生み出し続けていかなくてはならない』

 

という思いがあるそうです。

 

そんな思いの著者が書いた

『最後の医者は桜を見上げて君を想う』

読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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「奇跡を信じる医師」と「死神と呼ばれる医師」

 

続々重版、25万部突破!本読み書店員が選ぶ「感動小説」第1位!
自分の余命を知った時、あなたならどうしますか?
死を肯定する医者×生に賭ける医者
対立する二人の医者と患者の最後の日々――
衝撃と感動の医療ドラマ!

あなたの余命は半年です――ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは? 究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか? それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!

 

舞台は武蔵野七十字病院の若き医師3人

その同期でもある3人は

それぞれに信念があります。

 

命に限りがある患者に対して、

奇跡を信じ、諦めず難病と

戦うことを願う副院長でもある

天才外科医の「福原 雅和」。

 

闘病に疲れた患者には無理に

延命治療余命を勧めずに

自分らしく余命を過ごすことを

勧めることから、

院内で「死神」と呼ばれる「桐子 修司」。

 

その2人ほどの信念は無く、

患者と一緒に悩み、

迷い寄り添う「音山 春夫」。

 

この3人のそれぞれの信念が

「とある会社員の死」

「とある女子大生の死」

「とある医者の死」を通して

語られていきます。

 

タイトルと表紙をみると

一見恋愛小説かな?と思いますが

内容は医療小説、

「生」と「死」について

考えされられるものとなっています。

 

文章は難しいことはなく

軽くサラリと読み終わることができます。

 

難病になって命の時間に限りが

ある患者の視点、その家族の視点、

その患者に対する医師の視点が

克明に描かれており、

 

もし自分が病気になり

命の時間に限りができてしまったら、

どの医師に残りの時間を任せるか、

どのような選択をするか

思わず考えてしまいました。

 

 

 

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命の残り時間を選択するのは自分

 

この作品なのかでは福原、

桐子このふたりの医師が

「生」と「死」、「光」と「陰」

という対極の関係で書かれています。

 

桐子は「死神」、

福原は「奇跡を信じる医者」として、

それぞれの信念で患者と向き合いますが、

患者と医師が選択した結果を知るにつれて

 

果たしてその選択が良かったのか、

残された家族の思いは、医師の思いは、

と様々な考えが浮かんでは消え、

浮かんでは消えていきました。

 

「患者はベルトコンベアに乗せられている。それが正しい道と思いこまされて。けれどそこから降りる選択肢だってある。生き方は自分で選ぶ」

 

そう「死神」と言われている

桐子は言います。

 

病気になり命の時間を医師から

知らされると、

人は初めて「命」というものに

真剣に向き合うのでは

ないかと思います。

 

「とある会社員の死」では

会社員が「賭け」にでます。

 

それは患者自身が選択した結果

なのですが、

あまりにも患者の心理描写が

リアルに描かれていて

身につまされるような

思いになりました。

 

そして自分ならどうするのだろう。

と考えさせられました。

 

 

 

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自分らしく死ぬ時のためにしっかりと生きる

 

「とある女子大生の死」では

女子大生の言葉が印象に残ります。

「後で死ぬ人は、みんなの死を見届けるのが仕事。先に死ぬ人は、みんなに死を見せつけるのが仕事」

 

言葉だけでみると身勝手な言葉だと

思うかもしれませんが、

女子大生が選択した「死」を考えると

それは決して自分勝手な言葉

ではないこと

がわかることでしょう。

 

この物語を読んで、自分ならどうするか、

死ぬまでの時間をどう過ごすか

選択を迫られたとき、

 

本人として、

家族としてどのように考え、

行動するか。

 

家族としてどのように

接していくべきなのか、

 

3人の医師の中で、

どの医師が自分の考えに近いのかなど

様々な考えが頭の中をよぎりました。

 

そしてこの物語の中の

「生」と「死」に対する

選択肢の答えは、

どれも正解で、

どれもそうではないかも

しれないと思いました。

 

選択肢はひとりひとり無数にあり、

どれを選ぶかは自分次第なのだ

とも思いました。

 

日常を生きるうえで

「自分らしく死ぬ」ために、

その時までしっかりと生きていこう

と思える本でした。

 

続編

『最後の医者は雨上がりの空に君を想う』

もありますので、

気になる方はぜひ読んでみては

いかがでしょうか。

 

 

 

 

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