今回ご紹介する一冊は、
クロサワ コウタロウ 著
『珍夜特急1―インド・パキスタン―』
です。
珍夜特急の著者
クロサワコウタロウ氏は1976年、
東京都昭島市生まれです。
旅からの帰国後は、
ホテル勤務、
訪問販売員、
出版社勤務などに就き、
2013年に旅の記録をまとめた
『珍夜特急』を
Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)
で出版を始めました。
出版後は本格的に執筆活動を
始めてSFなどの作品に挑戦、
発表しています。
2016年には
「今はKDPの売上だけで生活しています。といっても、1人で食べていくのに困らない程度ですけど」
とインタビューで話されています。
作品には
『珍夜特急 1st Season・2nd Season』
があり、
著者がオートバイで
ユーラシア大陸横断と
北米・南米大陸横断の旅が
まとめられています。
旅に出かけたくても
様々な個人の事情や
世間の事情があり
気軽に旅に出ようと
言えなくなっている昨今、
旅に行きたい心を
クロサワコウタロウ著『珍夜特急』
で慰めてみてはいかがでしょう。
きっとハラハラドキドキの経験を
著者とともにできるのでは
ないでしょうか。
目次
クロサワコウタロウ『珍夜特急1―インド・パキスタン―』等身大で身近に感じるからこそ夢中で読んでしまう
インドのカルカッタからポルトガルのロカ岬まで、ユーラシア大陸を単独バイクで横断する――。19歳の”私”は、大学の学費を費やして行ったタイ旅行でどこからともなくそんな啓示を受ける。
すぐに卒業を諦め、3年間に及ぶ準備期間を経ていよいよインドに入国した”私”は、いきなり送ったバイクを受け取れないというハプニングに見舞われる。
こんな調子で、それまで日本ですらまともなツーリングもしたことのなかった”私”が、ポルトガルまで無事に走り続けることができるのだろうか――。期間約1年、5万キロにわたるトラブルまみれの旅が、いま始まる!
当時は大学2年生の著者
「クロサワコウタロウ」は
友人と一緒に旅をしたタイへの
海外旅行をきっかけに、
次はユーラシア大陸をバイクで
横断してみたいと思います。
自称出不精、
休日は家でゴロゴロしている著者が
思い立ったら吉日とばかりに、
バイク横断の目標のために大学を休学し、
バイトを掛け持ちし、合間に資料を読み、
バイクの出国手続きも
自力で行うなど恐るべき
行動力を発揮し、
2年後現実のものとしてしまいます。
旅はインドの
カルカッタから始まります。
が、インドに入国して早々から
ハプニング続きです。
トランジットでは
慣れない乗り継ぎで
乗り遅れそうになったり、
やっと入国したインドでは、
悪い現地人に騙され、ボラれと
前途多難の様子を見せます。
しかし最大のハプニングがおこります。
それは日本から送った
肝心のバイクが
届かないのです。
出だしからまさに
ハプニングの連続です。
さらに旅の最中も
ハプニングは続きます。
今回紹介する『珍夜特急』は
インドのカルカッタから
ポルトガルのロカ岬まで1年をかけて
オートバイでユーラシア大陸横断した
全6巻のうちの1stシーズンの
1巻目になります。
1巻目からオートバイの旅に
夢中になること間違いなしです。
クロサワコウタロウ『珍夜特急1―インド・パキスタン―』自称出不精が海外をオートバイで旅をする
19歳の著者は旅に出るまで
日常への虚無感を
持て余していました。
このこの虚無感は若者であれば
一度は持つものであろうもの
だと思います。
大抵の人は何とかその虚無感を
手なずけ社会に出ていくのでは
ないでしょうか。
しかし著者は違いました。
オートバイで海外を駆ることを
実現してしまうのです。
自称出不精の著者が思い立って
実現するために行動するのですが、
英語はカタコト、免許をとって半年、
バイクメンテナンスの知識は
ほぼ無しと読み、
大丈夫なんだろうかと
思わせます。
それでも自力で何とか
実現してしまった
著者には感服です。
準備の段階で著者が
調べ物の資料を
探す際に見せる難航さに
違和感を覚えました。
その違和感はなんだろうと考えると
現代のように
インターネットでの情報収集
をしていないことでした。
しかしいくら簡単に情報が
手に入っても行動力が伴わないと
何の意味もないと思いました。
英語がカタコトレベルでも、
バイク知識が無くても
チャレンジ精神を
見失いさえしなければ
実現できると、
著者には勇気づけられます。
クロサワコウタロウ『珍夜特急1―インド・パキスタン―』まさに「旅は人を成長させる」
『珍夜特急』という
タイトルをみて、
沢木耕太郎氏の『深夜特急』を
思い浮かべる人も
多いのではないでしょうか。
『深』が『珍』に変わるだけで
パロディ作品?とオフザケ作品?と
思われがちですが、
著書はいたって真面目で、
数々のハプニングやトラブルに
見舞われて成長していく著者や、
行く先で出会う人々との交流など
とても魅力的な作品になっています。
詐欺師や日本人や外国人の
旅行者との出会い、
その中で出会う先輩ライダーのノッチと
彼女のシルビア。
ノッチからはバイク旅に関する
スキルや知識を学び、
旅をする上でのスキル向上に
つながっていきます。
著者は一人旅ですが
行く先で出会う人々が
著者を勇気づけ、
成長させてくれているのでは
ないでしょうか。
海外旅行がほとんどない著者が
旅が進むにつれて
精神的にたくましく
なっていく様子は、
旅のスタート時点の
著者と比べると
違いがわかります。
旅は人を成長させるという言葉
に思い出して
納得してしまいました。
本書は決して難しくはなく
『珍』というくらいなので、
軽く読みやすくあっという間に
作品の中に連れていってくれます。
外出がままならない昨今、
自宅でゆっくりと
『珍夜特急』を楽しんでみては
いかがでしょうか。
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