住野よる『青くて痛くて脆い (角川文庫) 』映画も公開!小説版感想とあらすじ!

 

今回ご紹介する一冊は、

住野 よる

『青くて痛くて脆い』です。

 

2020年8月28日に

実写版の映画公開

決定している住野よる氏の作品です。

 

タイトルの

『青くて痛くて脆い』は、

 

青春時代の人間関係、友情、

そして心情などを表現するワード

としてこの作品では

用いられています。

 

青春時代に、

自分が青かったからこそ

友達など大切な人を

傷つけてしまった経験

はありませんか。

 

また、若かったからこそ

些細なことで、

または自分の勝手な思い込みで

傷ついたり落ち込んだりした

経験はありませんでしょうか。

 

そんな若かりし頃の

青くて、痛くて、脆い経験を

思い出させてくれる

ストーリーを基に、

 

「本当に大切なものとは何か」

を改めて問いかけてくれる

作品です。

 

現在、青春真っただ中という方も

もちろんですが、

 

青春から少し遠ざかった30代、

40代の方にも、

 

青春ならではのほろ苦い感情

を思い出せてくれる作品

ですので、

ぜひおすすめです。

 

 

 

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住野よる『青くて痛くて脆い』 彼女ではない微妙な関係

 

 

「人に不用意に近づきすぎないことと、誰かの意見に反する意見を出来るだけ口に出さないこと」

 

を人生におけるテーマ

と決めていた大学一年生の

主人公・田端楓が、

 

とある講義で

周囲の目を全く気にせず

 

「この世界に暴力はいらないと思います。」

 

と急に自分の意見を

言い出すような性格の

秋好寿乃という一人の女性に

出会うところから

この物語は始まります。

 

この二人の友達と呼んで良いのか、

恋人と呼んで良いのか

微妙な関係性が

物語をより複雑に、

そして面白いものに

してくれます。

 

「好きという感情ではない」

という自分の感情への

確認作業を行っている表現も

あることから

 

楓は

「この関係が終わってほしくないので、

好きになってはいけない」

と自制心を働かせているのでは

ないかと

読み取ることもできます。

 

二人は「モアイ」

という秘密結社をつくり、

秋好が考える理想に向かって

進んでいくのですが、

 

その理想というものが

次第に二人の関係を

脆いものにしていくことに

なるのです。

 

この微妙な二人の関係、

そして共に目指した理想。

 

大学生という青春ど真ん中で

どこにでもありそうな

日常の一幕から始まる

物語なのですが、

 

何とも言えない不気味な

予感がする独特な表現や

言い回しが

読者に不思議な感覚を呼び起こし、

 

どんどんと物語の世界

に惹き込まれていくのです。

 

 

 

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住野よる『青くて痛くて脆い』 間違った正義

 

物語はいつの間にか

二人の関係が過去のもの

になってしまっていて、

 

楓は秋好のためを想って、

二人で作った「モアイ」を

失くそうと計画し、

実行に移していくのです。

 

それはあくまでも

秋好のためであり、

最初の理想や目的とは

まるで違ったものになって

しまったからという、

楓にとっての正義感

からのものでした。

 

この作品は、

この正義感による「モアイ撲滅計画」

の過程や回想シーンとの

入れ替わりによる

楓の心情の変化などに

多くのページを費やしています。

 

このページ数の多さが

なぜ必要なのかは

読み終えた今だからこそ

分かるものなのかも

しれません。

 

この辺りに手を抜かない部分や

細やかな場面設定と

感情の表現が改めて

作者の魅力や凄さを

感じさせてくれます。

 

そして、物語の終盤では

この正義感が

間違っていたことに

気づかされるのです。

 

良かれと思って

やってきたものが

間違っていたと気づいたとき、

 

さらにその間違った正義感

により大切な人を

傷つけてしまったとき、

 

楓は一体どうなってしまうのか。

 

物語は大きく揺れ動いていきます。

 

 

 

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住野よる『青くて痛くて脆い』 気づくのが遅かった本当の気持ち

 

物語の最後は、

主人公・楓と秋好の

青くて痛くて脆い二人の感情が

 

怒涛の勢いで変化し崩れ落ちていく

描写が中心となります。

 

短文で矢継ぎ早に

繰り返される会話や心情の描写が、

 

二人の気持ちの緊迫感や

喜怒哀楽の激しさを

見事に表現しています。

 

そして、まるでその二人の

やりとりをあたかも

隣で聞いているかのような

臨場感も感じることが

できるほどです。

 

物語の序盤や中盤では無かった

表現技法の急激な変化は

まさに圧巻です。

 

崩れ去った後に気づいた

自分の本当の気持ち、

 

そして二度と取り戻せない

自分が犯してしまった過ち。

 

読んでいて主人公の楓と

一緒になって後悔をし、

心を痛めてしまうほどです。

 

青春時代しか味わうことが

できないであろう

様々な感情に振り回され、

 

読み終わった後は

若干の疲弊感を

感じてしまうほどでした。

 

この二人の関係は

どこで間違ってしまったのだろう。

 

どうすればお互い傷つかずに

済んだのだろう。

 

そして、作者はこの作品で

何を伝えたかったのだろう。

 

そんなことを振り返り、

イメージしながら、

もう一度1ページ目から

読み始めてみようと思います。

 

 

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