『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』書評!

 

『FACTFULLNESS(ファクトフルネス)

10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

 

この本は特別な本です。

世界100万部の超ベストセラーであることも、

ビル・ゲイツやオバマ大統領が大絶賛したことも、

最後まで読み進めれば納得の1冊でした。

著者はハンス・ロスリングと、

その息子オーラ、そしてその妻のアンナ。

医師であったハンスは、

多くの人が現在の世界の現状について誤った認識

していることを危惧していました。

そして、テレビや講演、講義など様々な場所で、

「FACTFULLNESS(ファクトフルネス)」

すなわち世界を正しく見る習慣を、

3人協力して提唱し続けていました。

その集大成がこの本、

『FACTFULLNESS(ファクトフルネス)

10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

なのです。

内容とともに、なぜこの本が特別であるのかを、

見ていきたいと思います。

 

ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。
世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。

世界で200万部の大ベストセラー!

* ビル・ゲイツ、バラク・オバマ元アメリカ大統領も大絶賛!
「名作中の名作。世界を正しく見るために欠かせない一冊だ」―ビル・ゲイツ
「思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進める。そんな希望を抱かせてくれる本」―バラク・オバマ元アメリカ大統領

特にビル・ゲイツは、2018年にアメリカの大学を卒業した学生のうち、希望者全員にこの本をプレゼントしたほど。

◆賢い人ほど、世界についてとんでもない勘違いをしている

本書では世界の基本的な事実にまつわる13問のクイズを紹介している。たとえば、こんな質問だ。

質問 世界の1歳児で、なんらかの予防接種を受けている子供はどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%

質問 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%

答えは本書にある。どの質問も、大半の人は正解率が3分の1以下で、ランダムに答えるチンパンジーよりも正解できない。しかも、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほど正解率が低い。
その理由は、10の本能が引き起こす思い込みにとらわれてしまっているからだ。

◆教育、貧困、環境、エネルギー、医療、人口問題などをテーマに、世界の正しい見方をわかりやすく紹介

本書では世界の本当の姿を知るために、教育、貧困、環境、エネルギー、人口など幅広い分野を取り上げている。いずれも最新の統計データを紹介しながら、世界の正しい見方を紹介している。
これらのテーマは一見、難しくて遠い話に思えるかもしれない。でも、大丈夫。著者のハンス・ロスリング氏の説明は面白くてわかりやすいと評判だ。その証拠に、彼のTEDトークの動画は、累計3500万回も再生されている。
また、本書では数式はひとつも出てこない。「GDP」より難しい経済用語は出てこないし、「平均」より難しい統計用語も出てこない。誰にでも、直感的に内容を理解できるように書かれている。

 

 

 

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世界は意外にポジティブだ

ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著), アンナ・ロスリング・ロンランド (著), 上杉 周作 (翻訳), 関 美和 (翻訳)

 

著者のハンス・ロスリングは元医者で、

上述の通り多くの人が世界の現状を誤解していること

を危惧していました。

誤った認識からは、誤った結果が生まれます。

何より、ハンス自身がその本能により、

過去医療現場での失敗や、

延いては避けられたはずの多くの人の死を

招くことにもなってしまうのでした。

とは言うものの、

この『FACTFULLNESS(ファクトフルネス)

10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

非常にポジティブな本です。

経済危機などネガティブな内容を煽る本が多い中、

世界を正しく見れば、世界は意外によくなっているし、

貧困、教育、環境、エネルギー、人口問題の

様々な分野でよい方向に向かっているのだと分かります。

例えばHIV感染者数、戦争・紛争の犠牲者数、

乳幼児の死亡率などがデータとともに挙げられており、

全て右下下がりのグラフです。

確かによくなっているのです。

でも、多くの人はこれら3つの事象は年々増え続けている

と思っているのではないでしょうか。

事実私もそうでした。

客観的データに基づかず、

そう思ってしまっているのです。なぜか。

それは、人間の備わる10の本能に依るというのです。

 

 

 

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10の本能が世界の現状を見誤らせる

 

この本では、人間に備わる10の本能を章毎に読み解き、

それが如何に世界の現状を見誤らせているかを教えてくれます。

このハンス・ロスリングの持ちネタなのでしょうが、

世界の現状に関する3択問題を出したとき、

多くの国や地域でその正解率は、

なんとチンパンジーよりも低くなるそうです。

単純に3択だと33%ですから、

それ以下という事ですね。

10の本能とは、

分断本能ネガティブ本能直線本能

恐怖本能過大視本能パターン化本能

宿命本能単純化本能犯人捜し本能

焦り本能の10種類です。

様々なグラフや彼自身の例を用いて、

この10の本能がもたらす誤解を説いていってくれます。

読み続けていくと、

「確かに自分にもこういうとこある」と、

思わせてくれる例が多々ありますね。

第6章で語られたパターン化本能

少数の例や事項を見て、

その人が属するグループ全体を

そうだと決めつけてしまう事を

パターン化本能と呼んでいます。

例えばメディアで取り上げられる中国人や

韓国人のマナーが悪いといった特集、

夕方のニュースでよく取り上げられていますね。

それを見て、中国や韓国の人はみんなマナーが悪い

と判断を下すのは、誤っています。

中国や韓国でも、もちろんマナーを日本人以上に

重視する方はいるし、メディアが取り上げたその時だけ

そういう言動をとったのかもしれません。

同じ国、同じ文化にいる人は、

全て同じであるという考えは危険です。

逆もしかりで、

「この国の人はみんないい人」という事もないのです。

私自身、仕事でアジア圏に行くことが多いので、

テレビでパターン化本能を煽るような報道を見ても

自分で判断する事が出来ていると思いますが、

そういう経験がなければ、

きっとパターン化の見方に陥ってしまうと思います。

今回のコロナに関する騒動でも、

世界中でこの本能が見られたのではないでしょうか。

クラスターが発生した場所や人を責める犯人捜し本能

ヨーロッパなどでアジア人が差別を受けたのは

パターン化本能乃至は恐怖本能が

働いたからだと思います。

それでもハンスは各章の最後に、

きちんとこれら本能から抜け出し世界を

ありのままで見るための方法を明示してくれています。

各章のまとめ的な意味合いもあるので、

こういう心遣いは読者にとって

非常に読みやすいですね。

 

 

 

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ハンス・ロスリングの志が伝わる1冊

 

この本が特別であるのは、

何もその内容の事だけを言っているのではありません。

人の恐怖や不安を煽るような本が多い中、

データをきちんと見れば世界は意外にもポジティブである

という事を示唆する本の内容が

斬新であるという事ももちろんです。

しかし皆さんは、命を賭して執筆した1冊

という本に出会ったことはあるでしょうか?

もしかしたら、少し大げさな言い方かもしれません。

著者のハンス・ロスリング氏は、

もうこの世にいらっしゃいません。

彼はこの本を執筆中の2017年に末期のすい臓がんを宣告されます。

それから、講演も何もかも全てキャンセルし、

オーラ、アンナとともにこの本に集中したのです。

この本に全てを注いだのです。

ゆえに、商業的に成功したい、

有名になりたいなどといった目的のために

書かれた本なのではないのです。

ただ事実をデータを基にありのままに見る、

そしたら世界の見方が変わり、

意外にポジティブだと分かる。

嘘偽りのない、それを伝えたいという情熱のみ

書かれた本なのです。

こんな本他にあるでしょうか。

彼の死は、本の「おわりに」にてオーラ、

アントにより伝えられます。

そしてその「おわりに」の後、

ハンスが生前書いたであろう「謝辞」が出で来るのですが、

ここは是非読んでほしい箇所です。

彼の感謝で溢れています。

この情熱を、是非多くの人が

感じ取ってほしいと強く願っています。

 

ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著), アンナ・ロスリング・ロンランド (著), 上杉 周作 (翻訳), 関 美和 (翻訳)

 

 

 

 

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