黒川博行『国境』感想とあらすじ!疫病神シリーズの第二弾「シリーズ最高傑作」

 

今回ご紹介する一冊は、

黒川博行

『国境』です。

 

疫病神シリーズの第一弾「疫病神」

から4年。

あの超凸凹、桑原保彦・二宮啓之の

コンビが帰ってきます。

 

その名も『国境』

多くのファンに、

「シリーズ最高傑作」と謳われています。

 

確かに滅茶苦茶面白い!

まずスケールが違います。

 

前回のテーマは産業廃棄物処理場でした。

それにまつわる利権争いが

中心に書かれていましたね。

 

詳しくはその時のブログを

読んで頂ければと思います。

(疫病神シリーズの第一弾「疫病神」の

書評はこちら↓)

 

そして今回のテーマは?

なんと北朝鮮。

しかも、桑原と二宮が北朝鮮で

大暴れをします。

 

前作の第一作よりも、

桑原と二宮の掛け合いの数も増え、

よりコンビとして確立してきたのが

今作でしょう。

 

この二人には似合わないような

コンビ愛も垣間見える今作。

 

それでは、疫病神シリーズ第2弾。

『国境』を紹介していきます、

2001年の作品です。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

黒川博行『国境』詐欺師を追って北朝鮮へ

 

「疫病神」コンビこと、建設コンサルタントの二宮と二蝶会幹部の桑原は北朝鮮に飛んだ。二宮は重機の輸出で、桑原は組の若頭がカジノ建設の投資話でそれぞれ詐欺に遭い、企んだ男を追ってのことだった。平壌に降り立った二人だが、そこには想像以上に厳しい現実と監視が待っていた。シリーズ最高傑作の呼び声高い超大作!

 

話はいきなり二宮と桑原が北朝鮮へ

向かうシーンから始まります。

 

この2人が組むという事は、

共通の目的があるからですね、

しかもがらみ。

 

2人とも直接ではないにしろ、

趙成根という詐欺師に

騙されていたのでした。

 

桑原は所属する二蝶会の

若頭が趙にお金をだまし取られました。

 

趙は竹村という男と組み、

北朝鮮貿易外交部が元山(ウォンサン)

という場所のホテルにカジノを開く

という投資話を仕立てて、

二蝶会だけではなく、

大阪中のヤクザから

金をだまし取っていたのです。

 

二宮に関しては、

趙を村居商会という建機販売の会社

に紹介してしまいます。

 

その会社が趙に料金を踏み倒され、

二宮はその責任で趙を追うのでした。

 

趙が逃げた先は北朝鮮。

普通なら北朝鮮に逃げたというなら

あきらめますが、この2人は違う。

 

金が絡めば疫病神如く

どこまでもまとわりつきます。

絶対に敵に回したくはないですね

 

北朝鮮、大阪、北朝鮮、大阪と

舞台が移り変わっていきますが、

やはりこの物語のハイライトは

2度の北朝鮮潜伏

 

ハラハラドキドキのオンパレードですよ!

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

黒川博行『国境』さながら北朝鮮ガイドブック

 

今でこそ北朝鮮に関する多くの情報

が出回っていますが、

この本が書かれたのが2001年。

 

2000年の南北首脳会談で

多少は話題になったとはいえ、

その内部に関しては

よくわかっていない状況でした。

 

しかし、著者の黒川氏は

大阪と同じように北朝鮮の詳細を

この『国境』の中で克明に描いています。

 

その土地の様子、街ゆく人の様子、

食事、などなど。

 

巻末にはかなりの

北朝鮮関連資料が参考文献として

紹介されていました。

 

かなりの取材期間を必要としたでしょう。

その分、かなりリアルです。

 

しかも、北朝鮮内部の階級社会や、

その歴史も北朝鮮ガイド役の男から

語られており、

下手なガイドブックよりも

何倍も頭に入ってくるんですね。

 

それでも尚!桑原と二宮がいるおかげで、

なぜか北朝鮮という暗い国にも関わらず、

おちゃらけたような明るさが

感じられるのがいいところです。

 

黒川氏は本当にいいコンビを

誕生させてくれたと思います。

 

北朝鮮で出会う脇役も結構魅力的です。

一度目の訪朝時のガイド役の柳井、

北朝鮮のゴロツキ・黄慶化、

二度目の訪朝時のガイド・李。

 

特に黄と李は趙成根拿捕、

そして北朝鮮からの脱出に

大きな手助けをしてくれます。

 

そして前回『疫病神』でも書きましたが、

北朝鮮という馴染みがない国、

しかも出てくる名前が李とか黄、

とか徐など時たま誰が誰だか

わからなくなってくるので、

メモを取りながら見るのが

私はお勧めです。

 

でも、途中で今までの経緯を

説明するシーンも出てくるので、

そこまで構えなくてもいいでしょう。

 

それに、今回は話自体はそこまで

複雑ではありません。

 

趙成根という詐欺師を捕まえに

北朝鮮に向かう、

そしてその詐欺を働いた黒幕を

追い詰めていくという話です。

 

しかし、映画化ドラマ化は

さすがに無理でしょうね。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

黒川博行『国境』北朝鮮でも大暴れの最凶コンビ

 

1度目の訪朝時は、

桑原と二宮の2人は

旅行会社の訪朝ツアーに紛れて

向かいました。

 

自由が利かず、何よりタイムリミット

があるものです。

 

それでも趙の手がかりをつかみ、

2度目の訪朝につなげます。

 

桑原はもちろん北朝鮮でも

ゴロを巻きます(喧嘩をします)。

 

その相手の一人が 黄慶化。

かなり男気のある北朝鮮のゴロツキで、

桑原に喧嘩で負けたことを素直に認め、

2度目の訪朝に桑原に手をかしてくれます。

 

北朝鮮人という得体のしれない人間が、

かなり身近に感じられるエピソードですね。

 

私の中で「国境」のハイライトは、

2度目の訪朝時。

 

北朝鮮から中国の国境を抜けるシーンです。

2度目の訪朝は密入国でした。

 

「わしはまちごうてた。稼業人にあるまじき心得ちがいをしていた」

 

とは桑原のセリフ。

旅行会社のツアーなどではなく、

ヤクザらしいやり方で国境を超える。

すなわち密入国ですね。

「楽しみやのう。わしとおまえで国境破りや」

 

と二宮ももちろん巻き込まれる。

 

北朝鮮から抜けようとする

豆満江のシーンで「さすがに死ぬだろ。。」

というところでも絶対不死身の2人。

 

大阪弁のボケとツッコミを

北朝鮮でも炸裂させてくれた桑原と二宮

の最凶コンビを、

 

存分に楽しんでください。

シリーズ最高傑作を読まずに

疫病神を語るなかれ!です。

 

 

 

 

この記事を読んだ方はこちらもオススメです↓

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

おすすめの記事