香月美夜『本好きの下剋上 第五部「女神の化身I」』あらすじと感想!本と家族愛が暴走の原因!?

 

今回は、

投稿小説サイト『小説家になろう』で

連載していた香月美夜(かづきみや)

による長編小説

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~

第五部「女神の化身Ⅰ」

をご紹介します。

全5部677話で完結した後、

椎名優が挿絵をつけて

TOブックスから出版されました。

Web上で人気のある作品ではありましたが、

出版されることでさらに多くのファンがつきました。

コミック化、アニメ化、Toジュニア文庫も出ています。

異世界×ハイファンタジー、

世界観は中世ヨーロッパ風です。

魔法や魔獣が存在する世界ですが、

魔力は基本的に王族や貴族にしか受け継がれません。

本が好きな日本人女性が、

本に押しつぶされて命を落とし、

病弱で苦しむ少女の身体に魂が飛び込みます。

目覚めた場所は粗末な家に貧しい暮らし、

本もなければ文字を読めないのが普通の場所でした。

生活・文化・意識の違いに苦しみながらも、

自分の望む本が当たり前にある世界を

目指して奮闘する物語です。

マインは平民にはない魔力を秘める少女でした。

兵士の娘として、神殿の巫女として、

さら領主の養女としてローゼマインと名を変えます。

まわりの力を借りながら

世界を動かす存在へとなっていきます。

どれほど環境が変わっても

根っこはただの本好きです。

本好きとして自分が楽しめるよう

常に考えています。

 

 

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結束力のあるエーレンフェスト

 

【あらすじ】

フェルディナンドが旅立ったエーレンフェストの冬は重い。騒乱を好む「混沌の女神」のようなゲオルギーネに関する密告があったことで粛清が早められた。
一方、貴族院の三年生になったローゼマインは喪失感を振り払うように、忙しく動き回る。寮内では旧ヴェローニカ派の子供達が連座を回避できるように説得し、院内では領主候補生の講義初日が開始。文官コースの試験に、新しい上級司書との出会い、専門コースの専攻など、一年前とは立場も環境も激変した日々へ突入していく。
次第に「らしさ」を取り戻す中、神々のご加護まで大量に得て、ますますローゼマインの暴走は止まらない!?
「わたしの本好きウィルス、皆に広がれ!」
シリーズ最終章「第五部」開幕! ユルゲンシュミットの根幹へーー聖女伝説が走り出す!
書き下ろし短編×2本、椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!

 

ローゼマインにとって家族であり師であり、

良き理解者であるフェルディナンドが

アーレンスバッハへ旅出ちました。

ローゼマインとフェルディナンドは、

こっそり手紙のやり取りをして近況を知らせ合います。

ローゼマインは三年生として貴族院に戻りますが、

エーレンフェストで行われている粛清から

できるだけ子供たちを守ると考えています。

反発する子供もいましたが、

未来へ目を向けさせることでその場を治めました。

この後、全員初日合格を勝ち取るなど、

目標ができ勉強に邁進していきます。

貴族院にいるせいかフェルディナンドが

いない寂しさを感じませんでした。

それよりも粛清により家族を失った子供たちの

未来を救うために奔走する大変さが伝わってきます。

連座で処分するのが当たり前という意識から、

別の方法もあると考えるローゼマインは

まさに女神でしょう。

危険が増えたこともあり

側近たちの主を守るための行動が、

以前よりも強調されている気がします。

自分の言動がまわりに大きな影響を

与えてしまう怖さを感じました。

側近にとって主が全て、

ハルトムートがいるともっと冷え冷えとした空気が

漂ったんだろうなと想像しながら読みました。

適材適所を考え、相手の立場を配慮する

ローゼマインですが完全な能力主義です。

これはフェルディナンドの影響も

大きく受けたんでしょうね。

貴族としての常識でいれば厳しいですが、

ダームエルやフィリーネの努力が報われていく様子

を見るのは純粋に嬉しいです。

 

 

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聖女伝説の加速

 

貴族院一年生の時から広まっていた聖女伝説ですが、

さらに他者に認知されつつあります。

神々のご加護を得る儀式では、

規格外の魔力により最高神の元へ向かう扉が開かれます。

ローゼマインが得た加護の数は四十、

ヴィルフリートは十二でした。

フィリーネが適正以外の神のご加護が増え、

ローデリヒが全属性の加護を得たことで

周囲の反応が不穏なものに変わります。

滅多に関わらないヒルシュールの助言により、

神のご加護について研究して発表することになりました。

フェシュピールの演奏では祝福があふれて止まらなくなり、

奉納の舞では生徒だけでなく教師の

エグランティーヌからも注目を浴びます。

奉納の舞・共同研究・ローゼマインが貸し出した本に

関わる内に、剣のあるレスティラウトの心に変化が訪れます。

魔力が減っている現状は

ユルゲンシュミット全体の問題であり、

エーレンフェストや各領地だけの問題ではありません。

神々への祈りを大切にしていないことや、

神殿を忌避する姿勢が魔力の低下につながっています。

ローゼマインのおかげで

少しは改善されるのでしょうか。

なぜ神殿が忌避されるようになったのか、

そのあたりももっと詳しく知ることができればと思います。

神のご加護や神殿、

魔力は密接につながっているようなので、

神殿を重視したらどうなるのか、

不都合な点はあるのか

歴史に埋もれた謎を読みたいです。

成り行きでやることになった神の

ご加護の共同研究の結果も楽しみです。

事は大きくなっていますが

ローゼマインの本好きは変わりません。

さらにこの世界に来てからは家族愛にも目覚め、

身近な人間をとても大切にしています。

暴走の原因となる本と家族愛が

どんな結末を迎えるのか楽しみです。

 

 

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図書館にまつわる謎

 

図書館に上級司書が中央から派遣され、

ローゼマインはシュバルツの主ではなくなりました。

新しく来た司書オルタンシアは、

グルトリスハイトの手がかりを探す

という役割もあります。

さらに不可解な言動が目立つ

ローゼマインの監視と調査も兼ねていました。

ローゼマイン・ハンネローレは王族直々の頼みにより、

上級司書の鍵がなければ開かない

書庫の鍵の管理者となります。

本好きのお茶会らしく本の貸し借りや、

感想を話すことで有意義な時間を過ごしました。

ライムントとの研究を優先することにより、

図書室へ行く頻度が少なくなりましたが、

図書室とは以前よりも深く関わっていくようです。

オルタンシアの出現で、

ローゼマインに不都合なことが起こるのではと

身構えてしまいました。

ですが、SSで彼女が強い決意をもって

行動に移すシーンがあります。

彼女の揺るぎない覚悟を応援したくなりました。

ずっと気になっていたメスティオノーラの像

へ祈りを捧げる理由も明らかになります。

魔力を持つ者、

何か大きな責任を持つ者への負担は大きいです。

王族の怖さは今まで散々、

語られてきましたので、

これからどうなるのか心配でもあります。

オルタンシアが望んだ行動が

最善の結果になることを願います。

ソランジュ先生は中級貴族ですが、

図書室に残ったたった一人の司書です。

彼女しか知らない秘密がもっとあるのでは

ないかと勘繰ってしまいました。

王族を交えたお茶会は

普通のことではありません。

その中でもローゼマインが喜々として

本の貸し借りをして、感想の言い合いを

している様子が面白いです。

エグランティーヌとアナスタージウス王子、

ヒルデブラント王子がいるお茶会は豪華ですが、

光栄を通り越してドキドキします。

基本的にローゼマインに対して、

理解のある面々ばかりですが

王族としての側面が垣間見えると怖いです。

 

 

 

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