今回ご紹介する一冊は、
銀色夏生(ぎんいろ なつを) 著
『1日1個、川原にパンを拾いに行く。
つれづれノート38』です。
銀色夏生。
1990年代この人の詩集を
持っている女性を多く見かけました。
女子のバイブルといってもよいほど
女子の心を鷲掴みにした
といっても過言ではないはずです。
この本の著者「銀色夏生」は
作詞家として有名になりました。
作詞家として有名になった
作詞のひとつに
「そして僕は途方に暮れる」が
あげられます。
銀色夏生氏が登場するまで
「詩」というのは
なんとも近寄りがたく
難解なものとして
思われがちでしたが、
著者の詞はわかりやすく優しく、
このことから多くの人の心を
捉えたのではないかと思います。
のちに著者は本の制作に
専念するようになり詩だけではなく、
エッセイや写真詩集、旅行記、
創作の物語などを発表しており、
その数は160冊にも及ぶそうです。
目次
銀色夏生『つれづれノート38 1日1個、川原にパンを拾いに行く。』 著者の目を通してコロナ渦を再確認
どういう選択をしても、選んだ人生をそれぞれが生きることになる。
今後の人生の孤独感を乗り越えるために、どうすればいいか。生きるうえでの仲間を作りたい。そのために長期計画でいろいろ模索している。もの作りの仲間を作りたい。私は結局、何かを作るのが好きだし、何かを作るのが好きな人が、好きなのだ。今、コロナで世の中は右往左往してるけど、少しずつ落ち着いていくだろう。思いがけないことを知るチャンスかもしれない。とにかく私は目の前のことを、変わらず今日もやっていこう。
今回紹介する
『1日1個、川原にパンを拾いに行く。
つれづれノート38』
は「つれづれノート」シリーズ
として発表しています。
「つれづれノート」として
世に出たのは
1991年6月ということなので
かなり長く続いている
シリーズです。
シリーズ38冊目の本書は
現在のコロナ渦を
著者がどうとらえているか
も語られています。
2020年2月から7月までの
日常がつづられており、
コロナに右往左往する
世の中を著者の目や感覚で
切り取られています。
本の中盤では本のタイトル
『1日1個、川原にパンを拾いに行く。』
の理由もわかります。
この感覚が詩人である
著者の凄いところだなと感じました。
気軽に飄々と語られていく
本文ですが、
その中には読む人に
ピンポイントで語りかける言葉
が隠されているような気がします。
そのことからこのシリーズが
長く愛されていることが
理解できました。
コロナ渦の世の中、
たくさんの人がそれぞれに感じ、
変わっていく世の中に
どう対応するべきか考える
時期にきています。
著者考え、毎日の生き方は
「コロナ渦を生きていかなけらば
ならない私たち」
に少しだけヒントをくれる
ようだと感じました。
銀色夏生『つれづれノート38 1日1個、川原にパンを拾いに行く。』 生きづらさの中にも成長はある
『そして僕は途方に暮れる』
を知った時に
「銀色夏生」って男性?女性?
と性別がわからない人も
多かったと思いますが
「銀色夏生」は女性です。
その証拠に本シリーズでは
2度の離婚のことや子育て
についても赤裸々に
語られています。
本書を読んでいて著者は
世の中に生きづらさを感じている人
ではないかと思いました。
コミュニケーションが
苦手な著者が語る、
コロナでソーシャルディスタンス
としての
他人との距離感が気持ちを楽にする
という部分では、
コミュニケーションが苦手な人は
思わず「わかるわかる」と
強くうなずいてしまう
かもしれません。
「自分の価値観(生き方・判断基準)を決めることが大事。決まれば他人に翻弄されなくなりとても楽になる。それが決まれば、その価値観で生きやすくなる環境を整えることが課題だ。それに時間がかかるのだ。」
と著者は語ります。
時間はかかるし急に変わること
はできず、
そのことにストレスやジレンマ
を覚えるかもしれないけれど
必要な時間であり、
環境を変えることに対しての
自分の本気度もわかる。
価値観が変わると人間関係も
環境もかわることになる。
そう語る著者に共感を覚える人も
少なくはないのでしょうか。
銀色夏生『つれづれノート38 1日1個、川原にパンを拾いに行く。』 自分だけの宝を見つける心の余裕
本書は著者の日常の出来事や思うことや
愚痴など赤裸々に語られています。
本書でも親子の関係や知人との
関係も書かれています。
そのためか著者の考えや行動、
子育てに対して読者は賛否両論の
意見を持つようです。
基本的には捉え方の違いに
なるのかもしれませんが、
著書はあくまでも「銀色夏生」
の生き方と考えであることを
念頭において読むと
「否」の部分ではなく「賛」の部分も
多く見えてくるのでは
ないかと思います。
川原にパンを拾いに行くように
なって著者は思います。
「家の中からそれらが目に入るたびにうれしい。人にはゴミのようでも私には宝」
多かれ少なかれ人には
このような「自分だけの宝」
があると思います。
忙しい日々で忘れがちな自分の宝を、
著者のように見つける気持ち
の余裕を持つことも
時には大切なことだなと
思い出すことができました。
本書は著者の日常が
飄々と描かれています。
その中にきらりと光る言葉
が埋もれています。
赤裸々に飄々と語られる
著者の日常にも興味がでてきましたが、
著者がどのような言葉で
日常を語るのか大変興味が出てきました。
心に響く言葉を探しに
著者の今までの作品を
読んでみてもいいのかもしれません。
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