【感想】『家族のあしあと(続編)』あらすじと書評!椎名誠の新刊

 

今回ご紹介する一冊は、

椎名誠

『続 家族のあしあと』です。

 

椎名誠と言えば、

私にとっては旅人という

イメージが強いですね。

 

この本は、椎名誠氏の

小学校から中学校時代の思い出

をつづった随筆的な物語なのですが、

私の椎名誠の本との出会いも

小学校時代までさかのぼります。

 

確か教科書で見た

『ヤドカリ探検隊』ですね。

 

約30年ほど前の事ですので、

どんな物語かは

忘れてしまっていました。

 

ネットで調べると、

2人の小学生を連れておじさんが

無人島に行き、

キャンプをするという話

だったみたいです。

 

この話はなぜか、

私に椎名誠という人物を植え付けて、

その人は色んな所を旅している人

だという印象を残しました。

 

その国語の先生も椎名誠の事が

好きだったみたいなので、

尚更記憶に残っていたのだと思います。

 

本屋で見かけると、

いつも小学校の国語の授業を

思い出させてくれる椎名誠という名前。

 

『続 家族のあしあと』は、

その椎名誠自身の小学校から

中学校にあがるくらいまでのお話です。

 

 

 

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椎名誠『続 家族のあしあと』 ノスタルジックな田園風景

 

さようなら、友だちと遊びまくった日々。
世代を超えて愛される、シーナ・サーガの少年時代!
小学校を卒業し、ついに中学生になった椎名少年の
楽しくもフクザツな心のうちを鮮やかに描き出す。
累計470万部突破の私小説シリーズ、シーナ・サーガの真骨頂!

「自分の子供の頃はどんなだったのだろう。ということがいきなり気になってしまった。子供心にも謎の多い家でそだったからだ。とくに『岳物語』の主人公が、六年生になったあたりで書くのをやめたのがずっと気になっていて、自分はその年齢の頃に、いったい何をして何を考えていたのだろうか、ということがえらく気になった。自分がいた「私小説」の世界はどうもいろんなところが暗くくすぶっている」(あとがきより抜粋)

 

 

表題に「続」とあるので、

当然第一弾『家族のあしあと』

があるわけですが、こ

の椎名氏の私小説シリーズは

累計470万部も超えているそうですね。

 

『岳物語』という家族の物語も

人気のようですが、

主人公・岳が小学6年生の時までで

その話は終わっており、

この『家族のあしあと』の方で、

自分自身を書いてみようと

いうのが執筆のきっかけのようですね。

 

ちなみに岳とは椎名誠の

実の息子さんのお名前で、

もう書かないでくれと言われ

『岳物語』は終了せざるを

得なくなるのでした。

 

そして、自分の小学校時代は

どんなものだったのかと思い出を探り、

この『家族のあしあと』

は生まれるのです。

 

正直な話、私は第一作

『家族のあしあと』は

読んでいないのですが、

『続 家族のあしあと』だけでも

十分に楽しめると思いました。

 

もちろん、一作目を読むと

更に感情移入出来るのだと思います。

 

舞台は千葉県の半農半漁の里。

描かれている風景は、

今では見られない田園風景

でしょうか。

 

主人公となる少年を中心に、

その母、叔父、傷痍軍人の長兄、

自殺を図った上の兄タカシ、

弟の裕、つぐも叔父、

つぐも叔父の息子・賢三、

そして愛犬のジョン。

 

この登場人物を中心に、

少年の小学校から中学生に

上がっていく過程で起きた、

さまざまな印象深い出来事

がつづられていきます。

 

父は既に亡くなっており、

兄弟も異母兄弟と、

少し複雑なようですね。

 

傷痍軍人の兄なんて、

今の70~80代の方でないと

まず経験がないことでしょう。

 

でも所々、

共感できる部分も出てきます。

それが、世代を超えて

この私小説シリーズが愛されてる所以

なのでしょうね。

 

 

 

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椎名誠『続 家族のあしあと』 中学入学頃から共感できる少年の周りとその心情

 

私自身30代なのですが、

小学校から中学へ上がったときの

変化に対する少年の心情と言いますか、

環境の変化に対する感想は

理解できるものが多かったです。

 

小学校時代、いつも遊んでいた

吃音の賢三君と遊ぶ機会が少なくなり、

中学校で出来た新しい友人と

遊ぶことが多くなります。

 

まぁこれはしょうがないですが、

お互い少しだけ嫉妬とは

いかないまでも、

複雑な感情を抱くのでは

ないでしょうか。

 

更に、中学校に上がって

教科ごとに先生が変わる事。

 

そして、それぞれの先生に

あだ名をつけたり、

モノマネをしたりしていました。

 

そして何と言っても、

愛犬ジョンとの関係性ですね。

 

少年は父がおらず、

且つ異母兄弟がいるという

複雑な関係で育ちました。

 

母親もかなり自己中心的な印象

を受ける人物で、

作中の表現からは、

少年の事を大事に思っているとは

見受けられませんでした。

 

そんな家族の中で、

少年が一番大事にしていたのが

愛犬のジョンのようでした。

 

小学生時代から中学に

上がるころまで、

いつも一緒にいるような

関係ですね。

 

そんなジョンとの別れも突然に。

ジョンとの別れが、

一番印象的なシーンでした。

 

ジョンは、

家に誰もいなくなってしまうと、

その最後に出た人物に

ずっとついて行ってしまう犬です。

 

だから、最後に出る家族は、

ジョンを家に戻さなければ

いけないという約束事がありました。

 

それを破ってしまったのが母親。

なんとジョンは、

母親が乗る電車にまで

ついて行ったのです。

電車に乗ってからジョンの存在に

気付いた母親は、

なんと走る電車の窓からジョンを外に!

 

後からそれを聞いた少年は、

ジョンを探しに行くのですが、

結局見つからず、

母親とはそれからしばらく

口を利かないようになります。

当たり前ですね。

 

自宅に誰の断りもなく

舞踊教室を作ったり、

他の家の電話を自分のモノ

のように使うなど、

この母親にはネガティブな感情

しか生まれませんでしたね。

 

ただ思ったのは、

昔はこういう豪快というか、

そんなお母さんが多かったのかな

と思いました。

 

 

 

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椎名誠『続 家族のあしあと』 60~70年代の方に刺さる風景

 

舞台は千葉県の半農半漁の町。

そして時代は、

力道山の試合を街頭テレビで

見ていたような時代です。

 

今の60~70代の方々が

少年だったころの話ですね。

丁度椎名誠自身もそんな世代です。

 

その世代の人々にとって、

よりノスタルジーを感じるような

作品だと思います。

 

最後にあとがきで、

作者自身母親の事を悪く書きすぎて

しまったと述べていて、

少し安心しました。

 

母親は既にお亡くなりに

なっているのですが、

その死の直前母と子のつながりを

感じられるようなエピソード

も出てきました。

 

様々な魅力的な作品を生み出した

椎名誠のルーツとなる少年時代。

 

椎名ファンならずとも

読んでおいてほしい一冊です。

 

 

 

 

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