今回ご紹介する一冊は、
落合陽一 著
『働き方5.0~これからの世界をつくる仲間たちへ~』
です。
今となっては知らない人の方が少ない、
メディアアーティスト・落合陽一氏の最新作です。
自身のロングセラー
『これからの世界をつくる仲間たちへ』
をアップデートして新書化したものであります。
「コロナ」によって、
社会の前提がすべて変わりました。
それに伴い、私たちは「働き方」についても
大きな変革を迫られ、
「本当に必要な仕事は何なのか」や
「これからの働き方のあるべき姿は」、
そして「そもそも人間がやるべき仕事とは何か」、
こういった重い命題に直面させられています。
著者は、そのような命題に
「これからはクリエイティブ・クラス
(=機械では代替できない能力を持つ人材)
として生きていくべきである」と説きます。
果たして、
落合氏が語るクリエイティブ・クラスとは
どのような人間なのでしょうか。
3つのキーワードを基にそれを
ひも解いていきたいと思います。
目次
落合陽一『働き方5.0』モチベーション
「社会の前提」は、すべて変わった。
「コロナ」によって、社会の前提がすべて変わった。
2020年、我々の「働き方」は大変革を迫られた。
リモートワークによって使える人的・時間的リソースが限られる中で、「やるべき仕事」が自ずと抽出されてきた。無駄な会議、出なくてもいいミーティングは排除され、ビジネスチャットやビデオ会議などテクノロジーで解決できることはそれに任せることが増えてきた。そして、「リモートワークのみで済む人材」への置き換えも始まりつつある。
では、「人間がやるべき仕事とは何か」──コンピュータやAIが進化した今、私たちはこの命題に直面している。ウィズコロナ、そしてポストコロナの世界では、それがいっそう問われることになる。
機械では代替できない能力を持つ人材=「クリエイティブ・クラス」として生きていくには、社会とどう向き合うべきなのか。
落合陽一氏のロングセラー『これからの世界をつくる仲間たちへ』をアップデートして新書化。
コンピューターやAIが大きく進化する
時代において、
著者は人間が得意なことと、
システムが得意なことの差に注目すると、
「人間がやるべきことが見えてくる」
と言います。
その一つが『モチベーション』だと言います。
システムには「これがやりたい」
という動機がありません。
目的を与えれば人間には
太刀打ちできないスピードと精度で
処理をしますが、
そこには決して「やりたくてやっている」という
意識は働いていないはずです。
「この社会をどうしたいのか」「何を実現したいのか」
というモチベーションは、
人間特有の感覚なのです。
このモチベーションを高く、
強く持てるかどうかが、
いわゆるクリエイティブ・クラスに
なるための一つ目の条件であります。
逆を言うと、
モチベーションなく
「なんとなくやっている仕事」や
「仕方なくやっている仕事」は、
コンピューターやAIに奪われたり、
コンピューターやAIに使われる立場
になってしまったりする、
そんな時代が来るかもしれないということです。
これを読んでドキッとした人は、
少なくないのではないでしょうか。
落合陽一『働き方5.0』暗黙知(あんもくち)
暗黙知(あんもくち)とは、
長年の経験やノウハウ、直感、勘や
イメージといった経験的知識として
語られる知識のことであり、それと対比されるのが
形式知(=客観的にとらえることができ、
かつ言葉や構造をもって説明、表現できる知識)です。
クリエイティブ・クラスには
この暗黙知が欠かせない
というのですが、それは一体なぜでしょうか。
著者はその理由を
「誰も持っていないリソースを
独占できるものが勝つ」という
資本主義の原理や、
米国の有名な社会学者、経済学者の考え
などを用いて説得力のある見解を示しています。
加えて、大事なことは
成功したクリエイティブ・クラスを
そのまま目標にすることではなく、
つまり形式知の部分だけを表面的に
なぞるのではなく、
その人が「なぜ、いまの時代に
価値を持っているのか」を
自分なりに考えることであり、
その考えを基にこれまで蓄えてきた暗黙知を信じ、
そして自分自身の価値を信じ、
オリジナリティを持った人間を目指すべきであると
強く訴えています。
多くの大人たちが「この人みたいになりなさい」と
いってロールモデルを提示しがちですが、
それではまるで独自性のない、
ただの「もどき」にしかならない
つまらない未来が待っていることは
言わずもがなです。
落合陽一『働き方5.0』専門性
専門性は、簡単な言葉で言うと
「自分にしかできないこと」です。
どんなに小さなことでも良いので、
自分にしかできないことを見つけ、
それを深めていくことが
クリエイティブ・クラスになるために
何よりも重要だと著者は説きます。
さらに、その専門性のレンジが狭すぎると
失敗の確率が高くなるため、
そのレンジをある程度広く取った
「変態性」が必要だと加えています。
変態という言葉を聞くと少し戸惑ってしまう
部分もありますが、
才能という言葉では表しきれない
猛烈な執念のようなものという言葉を添えると
その戸惑いもなくなり、
納得させられるものがあります。
世界規模の「WOW!」を生み出す、
そういったイノベーションを起こすためには
何人もの変態が必要であり、
その一人一人が自分にとって気になる
「小さな解決したい問題」
を見定め、深く掘り下げていくことが
すべての始まりとなるのです。
すべての内容にも当てはまることですが、
自分の価値を認める強い「信念」こそ
これからの世界を生きていくうえで大切であり、
それを大いに活かしていくことこそが、
自分の生きる意味や価値となるのです。
この本のあとがきには
「こいつは、このテーマで語らせたら永遠に喋り続けるんだろうな」
周囲の人間がそういって苦笑するぐらい
の個性的な世界観、
という言葉が書かれているのですが、
そのような世界観を自分も早く身に付け、
クリエイティブ・クラスの人間として
生きていきたいものです。
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