原田マハ『翼をください』小説作品あらすじと感想!「空はひとつ」

 

今回ご紹介する一冊は、

原田マハ

『翼をください』です。

みずみずしい描写に

定評のある著者、

原田マハさんの2作目と

なった作品です。

 

時は第二次世界大戦前

「空はひとつ」という

メッセージを背負った

ストーリーは、

ちょうど8月に読むのに

ピッタリの作品と言えそうです。

 

 

 

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原田マハ『翼をください』 世界一周を成し遂げた日本人とアメリカ人を描いた実話ストーリー

 

世界はひとつ。熱い思いを胸に、空を駆けたアメリカ人女性パイロットがいた

新聞記者の翔子は、資料室で1939年に世界初の世界一周を成し遂げた「ニッポン号」の写真を見つけた。翔子はプロジェクトにカメラマンとして参加していた男を追って、カンザスへと飛ぶが……。

 

 

本作品は、

世界初の世界一周旅行を

果たした毎日新聞の社用機

「ニッポン号」を

取り巻く実話を元に描かれています。

 

このエピソードに、

大西洋単独横断飛行を

女性として初めて成し遂げ、

さらに世界一周まで

あと一歩のところまで

きていたアメリカ人、

アメリア・イヤハートの話

を合わせ、

壮大なストーリーとなっています。

 

社会部所属となって

バリバリ活躍することを夢見る、

生活家庭部所属の新聞記者、

青山翔子。

 

彼女は特別企画として

主筆の岡林にインタビューを

することになります。

 

取材中に岡林の口から

出てきた「山田順平」という男

について調べていったところ、

 

彼は世界で初めて

世界一周旅行を成し遂げた

チーム7人のうちの1人であり、

現在はアメリカ・カンザス州に

住んでいるという情報を入手します。

 

また当時の写真を解析したところ、

「ニッポン号」に乗っていたのは

7人のほかに、

幻の8人目が写っており、

その8人目は米国人女性

パイロットとして

歴史に名を遺した

エイミー・イーグルウィング

だということが判明します。

 

カンザス州にある老人ホームで

無事に山田順平との対面を

果たした翔子。

 

順平の口から語られたのは、

エイミーが成し遂げようと

した壮大な計画、

そして自分たちの利権のため

にエイミーを利用しようと

した人たち、

 

さらには社用機「ニッポン号」

による世界初の世界一周旅行の様子と、

成功の影で活躍した人物の話でした。

 

順平と岡林の間の強い絆にも触れ、

翔子は記者としての自分、

そして日本人としての

自分を見つめなおすことになります。

 

「ニッポン号」が世界一周を

果たしたのは1939年のことであり、

本作品は世界一周旅行70周年記念

の企画作品として出版されました。

 

著者にとって

「史実をベースに

フィクションを書く」

というスタイルでの

小説第1作目となっています。

 

 

 

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原田マハ『翼をください』 テンポの良さと描写の細かさを両立させた作品

 

本作品は2009年に

単行本として出版された後、

2015年に文庫版が

出版されています。

 

文庫版では上下巻に

分かれるほどの長編にも関わらず、

読み始めると一気に最後まで

読んでしまうほどテンポの良い

作品となっています。

 

それでいて、描写はとても

細かくリアリティがあります。

今まさに目の前で繰り広げられて

いるかのような、

みずみずしくて話に

引き込まれるような表現が

たくさんあります。

 

テンポよくどんどん

読めてしまうのですが、

するすると通り過ぎるのが

もったいないほどです。

 

ぜひ、2回読むことを

おすすめします。

1回目はテンポの良さを味わい、

2回目は描写の素晴らしさを

味わっていただくと

良いと思います。

 

 

 

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原田マハ『翼をください』 戦争を知る人、知らない人どちらも読むべき本

 

本作品の元になった

「ニッポン号」による

世界一周旅行は1939年。

第二次世界大戦が始まる

数年前のことです。

 

アメリカをはじめとした

世界各国は表面的には

仲良くしていたものの、

裏では様々な取引が

繰り広げられていたり、

侵略のための計画が

秘密裏に立てられている

ような状況でした。

 

物語の中でも、

アメリカと別の国、

あるいは日本と別の国が

笑顔でいがみ合っているような

描写がポツポツと出てきます。

 

戦前、あるいは戦時中を

経験したことのある人なら、

この小説を読みながら

その空気感を感じ取り、

当時を思い出すことが

できると思います。

 

そんな状況の中でエイミーは、

世界はひとつであるという

メッセージを訴え続けます。

国境も人種の違いも関係なく、

おなじ世界を生きる

人類としてひとつであるべき、と。

 

いまは戦時中ではありません。

ですが、笑顔でいがみあって

いるような状態は世界中

いろんなところで存在しています。

 

戦争を知らない若者たちは

「あの国に舐められちゃいけない、

強気でいくべきだ」

と考える人も少なくない

かもしれません。

 

そんな若者たちにも、

ぜひこの小説を読んで、

「空はひとつ」という

メッセージを受け取り

考えてほしいな、

と感じました。

 

戦争を知る人、

知らない人どちらも本作品を読み、

世界平和を祈り守ってほしい、

と心から思います。

 

 

 

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