高野秀行『またやぶけの夕焼け』あらすじと感想!少年時代の青春おすすめ本

 

今回ご紹介する一冊は、

高野 秀行

『またやぶけの夕焼け』

です。

 

早稲田大学探検部時代に

作家デビューという

経歴を持つ著者が、

自分の少年時代を振り返り、

描いた作品です。

 

ノンフィクションですが、

著者自身の体験を基に

作られたということもあり、

 

本当に実在しそうな

登場人物や舞台背景と、

よくありそうな少年時代

ならではの

 

面白おかしいストーリーが

読者を自身も少年時代に

タイムスリップしたような

感覚に誘ってくれます。

 

この本の題名の

『またやぶけ』も

そうですが、

子どもならではの視点から

付けられる様々な名前や

あだ名は、

 

著者のセンスとも

相まって非常に絶妙であり、

そしてなんでも

遊びにしてしまう

子供たちの想像力や

才能には改めて驚かされます。

 

70年代という今では

少し古い時代設定

ではありますが、

 

どの年代の読者でも

通じるところがあり、

 

大人になって忘れて

しまいがちな

「素直さ」や「正直さ」、

そして「好奇心」や「冒険心」

などを思い出させてくれます。

 

私が個人的に好きな部分の

ストーリーをいくつか

ご紹介いたしますので、

ぜひ初心に返った気持ちで

皆様にも読んで

いただきたいと思います。

 

 

 

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高野秀行『またやぶけの夕焼け』 八幡様のクワガタ捕り

 

僕はヒデユキ、八王子市立第六小学校の四年生だ。放課後になるといつも近所に住むカッチャンたちと遊びに繰り出す。『侍ジャイアンツ』に影響されて魔球を投げようとしたかと思えば、弟をブッチャーに見立ててプロレスごっこ。大物のノコギリクワガタに興奮し、恐竜の化石探しに熱中する―。毎日を全力疾走する少年たちを活き活きと描く、かつて子供だった全ての人に贈る笑いと涙の青春小説。

 

 

クワガタ捕りは

私が子供だった時代も

夏の定番の遊びでした。

 

けれど、大人になって

しまうと虫を触ること自体

に少し抵抗を持つように

なってしまいます。

 

一体、クワガタなどの

虫捕りは何が

楽しかったのでしょうか。

 

この本では、

虫捕り自体の楽しさに加えて、

そこから芽生える絆や

友情についても

クローズアップしています。

 

「オレ、行く」と

何気に言った一言から

主人公のヒデユキは、

 

一か月前に転校してきた

ばかりでまだ仲が良い

とは言えないマサトと

クワガタ捕りに

いくことになるのです。

 

初めは微妙に距離があった

二人ですが、

クワガタを捕まえるための

木の蹴り方や

その真剣さに触れ、

 

加えてクワガタを

譲ってくれたマサトの

優しさに胸を打たれ、

 

この一日の出来事から

二人の関係は強く

濃いものになって

いくのです。

 

見返りを求めず、

忖度のない真っ直ぐな

優しさこそ、

真の優しさであり、

 

それは子供ながらにも

感動を呼び起こすもの

であるということを

このストーリーは

私に教えてくれました。

 

 

 

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高野秀行『またやぶけの夕焼け』 結婚したい

 

親友になりつつある

カッチャンが

少女マンガを借りてきて、

それを自分で

秘密基地に隠し、

 

そこに主人公の

ヒデユキが招待される

という場面から

始まっていきます。

 

私も姉の影響で

少女マンガを読んだことが

ありますが、

意外に面白いものです。

 

ほとんどの少女漫画が、

ひたすら恋愛を描くという

スタイルですが、

その恋愛にも様々な形

がありそしてそれに伴った

様々な感情の

浮き沈みがある。

 

それが醍醐味

なのだと思います。

 

なんにでも好奇心があり、

気になったことは

やらなければ気が済まない、そ

 

んなことがきっかけで

子供のころの遊びは始まり、

成立していた気がします。

 

カッチャンもヒデユキも

少女マンガに

はまっていくのですが、

 

ある日、

『結婚しようよ』という

タイトルの少女マンガに

ものすごく惹きつけられ、

 

そこから生まれて初めて

『結婚』というものを

意識し始め、

 

クラスの女の子の中から

将来の結婚相手を物色する

という展開にまで

発展していくのです。

 

この子はダメ、この子

なら・・・などと

物色する様子、

そしてこの人だと

決めたあとに

妄想している結婚生活・・・。

 

これらの描写がなんとも

ユニークで声に出して

笑ってしまうほどでした。

 

心が真っ直ぐだからこそ、

とても強く妄想ができる。

 

そんなことをこの

ストーリーは

教えてくれました。

 

 

 

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高野秀行『またやぶけの夕焼け』 カッチャン軍団、最後の冒険

 

タイトル通り、

この本の最後の

ストーリーです。

 

「カッチャン、遊ぼ!」

いつものようにヒデユキが

カッチャンに声をかけると、

 

「おい、ヒデ、悪い
んだけど、今日は俺、

こいつらと遊ぶから・・・」

 

とカッチャンから

いつもとは違った返答。

 

春休みが明けて、

カッチャンは6年生に、

ヒデユキは5年生

に一つ進級したからこその

避けては通れない変化に

ヒデユキは淋しさを

感じてしまいます。

 

学年が変わることで

授業や部活・クラブなどにも

変化があり、

 

今まで一緒にいた時間や

親しくしていた関係までにも

変化を与えてしまうという

経験は誰しも味わったことがあり、

避けては通れないもの

なのではないでしょうか。

 

それでも主人公のヒデユキは、

この避けては通れない定め

のようなものに立ち向かい、

 

なんとかまたカッチャンと

遊ぶために色々な作戦を考え

実行していくのです。

 

「(ゴルフの)ドラコンでカッチャンが勝ったら、軍団を解散してもいいよ。その代わり、一人でも俺らの誰かがカッチャンに勝ったら、解散中止だ」。

 

 

今まで当たり前に

楽しく過ごしてきた

カッチャン軍団。

 

その軍団を解散させないための

一世一代の真剣勝負。

 

この関係を何とかして

続けたいという主人公の

ヒデユキの真っ直ぐな想いは、

果たして天に届く

のでしょうか。

 

最後に待っている

感動的なシーンは

ぜひ実際に本を読んで

味わってほしいです。

 

 

 

 

 

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