馳星周『アンタッチャブル』あらすじと感想!直木賞受賞作家が描くコメディ小説

 

今回ご紹介する一冊は、

馳 星周(はせ せいしゅう)

『アンタッチャブル』です。

 

『アンタッチャブル』

コメディ小説です。

 

馳星周は『不夜城』で

デビューしたのち

人気作家として活躍し、

 

2020年には『少年と犬』

7度目のノミネートなった

直木賞を受賞しているので、

その名前をご存じの方

も多いでしょう。

 

主に推理小説や冒険小説を

書かれている作家さんですが、

プロレス評論やゲーム評論も

手掛けるなど幅広く

活動しています。

 

この作品は彼自身が

自らの転機となった作品

であると述べており、

第153回直木賞にも

ノミネートされました。

 

「コメディ・ノワール」と

銘打たれたこの作品は、

その名の通り終始黒い笑いに

包まれており、

それでいて芯のある推理要素

も含まれています。

 

少し長めの物語ですが、

コミカルな展開と

読みやすい文章で、

すらすらと読めるのも

魅力の一つです。

 

皮肉な笑いを楽しみたい方や、

直木賞の受賞で作者に

注目していた方にも、

ぜひ読んでいただきたいですね。

 

 

 

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馳星周『アンタッチャブル』のあらすじ

 

ドジを踏んで左遷された宮澤と、頭がおかしくなったと噂される公安のアンタッチャブル椿。迷コンビが北朝鮮工作員のテロ計画を追う!

 

主人公である宮澤は、

かつて捜査一課の

刑事でしたが、

車で容疑者を追跡している

途中信号無視の自転車を

跳ねるという事故を起こし、

左遷されてしまいます。

 

異動先は警視庁

公安部外事三課

の窓際部署。

 

直属の上司は、

かつては将来の

警察庁長官と

噂された自他ともに認める

エリートキャリア

だったものの、

 

離婚を境に

「頭がおかしくなった」

と誹られる警視、椿でした。

 

事実椿の行動は、

禁煙である署内で

パイプをふかす、

ホームレスを

北朝鮮の工作員

だと思い込むなどと、

 

明らかに常軌を

逸していました。

 

故に宮澤は同じ

外事三課の課長滝山に、

椿の行動を監視し

報告するよう

に命令されます。

 

一方直属の上司である

椿は宮澤に、

北朝鮮のスパイと思われる

女性を監視し、

 

テロを未然に防ぐのに

協力するよう求められます。

 

しかし、

調べれば調べるほど

その女性は、

ただの一般人である

ことが裏付けられて

いくのです。

 

椿の支離滅裂な発言や、

横暴とも思える行動に

振り回されながらも、

宮澤は捜査一課に戻るべく

手柄を上げようと

息まきます。

 

そして椿の虚言に

付き合っているうちに、

一般人であるはずの女性が

北朝鮮のスパイである

証拠が発見され、

 

物語は少しずつ

動き出していくのです。

 

 

 

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馳星周『アンタッチャブル』のストーリー

 

点と点がつながり、

最後には一本の線になる。

そんな本格推理小説でしか

味わえないような感覚が、

この物語にはあるのです。

 

椿の言動は明らかに

論理的なものとは思えず、

宮澤もそれに

振り回されっぱなしです。

 

しかし椿の言動は

宮澤だけではなく、

公安部外事三課、

ひいては警察庁全体も揺るがす

大事件に発展していきます。

 

最後の驚くべき結末には、

読者も圧倒されること

間違いなしですよ。

 

馳星周は「ノワール」という

ジャンルの小説を

得意としています。

 

ノワールとはフランス語で

暗闇という意味で、

ハードボイルドな作品や、

犯罪をテーマにした作品の

ことを指す言葉です。

 

この物語も

公安の外事課という、

海外からのスパイや

テロリストに

対する捜査の最前線で

戦う部署を舞台に

しています。

 

しかしさすがは

直木賞も受賞した、

ノワール小説の巨匠、

 

この公安の世界を舞台装置

として見事に利用し、

 

その魅力を最大限に

引き出しています。

 

ノワール小説を

普段から読む方も

そうでない方も、

 

広く楽しんでいただける

ストーリーでは

ないでしょうか。

 

 

 

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馳星周『アンタッチャブル』の登場人物たち

 

この作品に

登場する人物たちは

誰もが魅力的で、

そして個性的です。

 

その中でも最たるのが、

やはり椿でしょう。

 

頭がおかしいと

噂される彼ですが、

しかし一方で明晰な頭脳も

持ち合わせている。

 

読み進めるにつれて

彼のことが分っていくどころか、

むしろ謎が深まる、

 

そんな不思議な人物が

彼なのです。

 

それに振り回される

主人公の宮澤は、

正義感は強いですが

基本的には中庸な人物です。

 

物語が一人称視点で

展開されることも相まって、

感情移入して読み進めるには、

うってつけの主人公

だと思います。

 

そしてもう一人

ご紹介しておきたいのが、

宮澤が事故を起こしてしまった

男性の娘、千紗です。

 

物語の序盤でこそ、

宮澤を目の敵にしていますが、

読み終えるころには全く

違った人物になっています。

 

どんな風に化けるのか、

ぜひ楽しみにして

読んでみてください。

 

 

 

 

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