フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリー二事件』おすすめ本のあらすじと感想!映画版も

 

今回ご紹介する一冊は、

フェルディナント・フォン・シーラッハ

『コリー二事件』です。

 

『コリーニ事件』

ドイツの作家であり

弁護士でもある

フェルディナント・フォン・シーラッハ

によってかかれた

中編推理小説です。

 

処女作である『犯罪』は

ドイツでクライスト賞、

日本でも

本屋大賞翻訳小説部門第一位

獲得したことでも知られています。

 

この作品は、

いわゆる本格推理小説でもなければ

日本の社会派ミステリとも違う、

 

はたまたアメリカで主流の

ハードボイルドものでもないと、

一風変わった作品です。

 

しかし、出版されたのち

ドイツでは大きな社会問題となり、

ドイツ政府にも影響を与えたため、

時に「問題作」とも呼ばれています。

 

隠された事件の真相に、驚き、

そして戦慄せずにはいられません。

 

敏腕弁護士と名高い彼だからこそ

書けたであろう、

法整備の問題点を見事に射抜いた、

現代の傑作です。

 

 

 

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フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリーニ事件』のあらすじ

フェルディナント・フォン・シーラッハ(著), 酒寄 進一(翻訳)

 

新米弁護士のライネンは、ある殺人犯の国選弁護人になった。だが、その男に殺されたのはライネンの親友の祖父だったと判明する。知らずに引き受けたとはいえ、自分の祖父同然に思っていた人を殺した男を弁護しなければならない――。苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。そこで明かされた事件の驚くべき背景とは。刑事事件弁護士の著者が描く圧巻の法廷劇、待望の文庫化!

 

 

事件は

ファブリツィオ・マリア・コリーニと、

ハンス・マイヤーが

ホテルの一室で出会うシーン

から始まります。

 

しかし、その二十分後には

マイヤーは頭を撃ち抜かれ

帰らぬ人となっていました。

 

『コリーニ事件』の名の通り、

コリーニは一人の

殺人犯となったのです。

 

駆け出しの弁護士

カスパー・ライネンは、

裁判においてコリーニの弁護士

となることになりました。

 

しかし、今は亡き親友の

姉ヨハナから、

被害者のハンス・マイヤーは

他でもない親友の祖父である

と告げられるのです。

 

さらにコリーニは殺人の動機を

話そうとせず、

ライネンは早くも多くの問題を

抱えてしまうのでした。

 

かくして裁判は開廷しますが、

大方の予想はコリーニと

ライネンには

全くもって勝ち目がなく、

終身刑は免れないだろうと

いうものでした。

 

そして事実、

裁判はそのように進行し、

残る日数もあとわずかとなります。

 

しかし、

事件に関する情報を集めた

ファイルを見返していた

ライネンは、

とある事実に目が留まるのです。

 

そしてその事実について

詳しく調べるにつれて、

秘密だった事件の全貌が

明らかになります。

 

それはライネンや検察、

裁判官らだけでなく、

ドイツ全土を揺るがす大事件

へと発展していくのです。

 

 

 

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フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリーニ事件』のストーリー

 

この作品で最も話題となるのが、

やはり事件の真相です。

 

もちろんここでお教えすること

はできませんが、

その真相は誰にとっても

衝撃的で、

もしかしたらあまり気分の

いいものではない

かもしれません。

 

しかし、

私たち読者はその真相と

しっかり向き会うことによって、

一人の人間として成長できる

と思うのです。

 

政治のあり方、社会のあり方、

さらには自分自身のあり方。

 

そういった難しい問題に対して、

一つのインスピレーションを

与えてくれるのがこの作品です。

 

是非ともこの物語に触れ、

そして自分で様々なことを

考えてほしいと思います。

 

私自身、この物語を

読み進めている間は

興奮でじっとしている

ことができず、

逆に読後は力が抜けて

動くことができませんでした。

 

そんな衝撃的な内容が、

決して長くはないこの物語に

詰め込まれているのです。

 

一人の日本人として、

読んでほしいというよりは

むしろ読むべき、

傑作と断言できる一作です。

 

 

 

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フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリーニ事件』が描くもの

 

登場人物たちの苦悩や葛藤、

激情といった感情、

とても繊細に美しく

描かれているのがこの作品です。

 

時に彼らに感情移入して、

時に自分と重ね合わせたりして、

これからの人生を

生きていくうえで

間違いなく糧となる物語

がここにあります。

 

しかし、人間には汚い一面も

あるのも事実であり、

この作品では、

そういった人間の汚い部分も

赤裸々に語られるのです。

 

あまりに生々しく描かれる

人間の本質に、ともすれば、

自分の生き方さえも見失って

しまいそうになりますが、

 

むしろ、生き方を

考えさせるのがこの作品の目的

といっていいかもしれません。

 

冒頭に引用された

ヘミングウェイの

「われわれは 自分にふさわしい生き方をするように できているのだ」

 

という一文が、

まさにこの物語のテーマを

端的に言い表していると

言えるでしょう。

 

一度読めば絶対に

人生の糧になります。

この傑作を読まずに

死んでほしくありません。

 

 

フェルディナント・フォン・シーラッハ(著), 酒寄 進一(翻訳)

 

 

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