今回ご紹介する一冊は、
山口 周 著
『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』
です。
今まさに時代の転換期であり、
私たちの目の前にはニュータイプの時代が
やってこようとしています。
そして、すなわちそんな時代を生き抜く
ニュータイプ人間が必要とされているのです。
ニュータイプと聞くとなんだかとある戦闘系の
アニメを思い浮かべる方が
少なくないかもしれませんが、
残念ながらそれとは少し違って、
これからのビジネスで、
いや大袈裟に言うとこれからの人生で
必要とされるであろう人物のことをこの本では
「ニュータイプ」と呼んでいます。
著者は、ニュータイプ人間を一言で
『自由で、直観的で、わがままで、好奇心の強い人』
とまとめています。
これを見ると20世紀には敬遠されがちな
要素たっぷりな人間ですが、
そんなニュータイプのあるべき人物像が
著者独自の理論や見解を持って
24の思考・行動様式にまとめられている
のがこの本であります。
昔からなんとなくニュータイプに憧れるのが
男の性ですから、
「この本を読むことで、
そんなあこがれのヒーローに一歩近づく
ことができる!」と
少年のような好奇心そのままに
読み進めていってほしいと思います。
それでは、少年のような好奇心をそそる
主な3つのポイントをご紹介しながら、
今注目の山口周氏の世界へご案内いたします。
目次
正解を探す時代は終わった!これからは問題を探す時代だ!
★HRアワード2019「書籍部門」入賞!!
★ベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』?で話題沸騰!!
★今、最も注目される著者が明かす、「アート」「美意識」に続くキーコンセプト!「直感」「意味」「構想」「モビリティ」
「フォーカス」「アンラーン」「エグジット」…他大きく切り替わった時代をしなやかに生き抜く、
「思考法」「働き方」「生き方」「キャリア」「学び方」
をまとめた生存戦略の決定版!!◎これから価値が高まるスキルとは?
◎GAFAによる勝者総取り最終戦争で生き残るには?
◎「役に立つ」で戦うと「ほぼ全員」負ける
◎問題解決者より「問題発見者」の価値が増す
◎重要な局面で「必ず」未来予測が外れる理由
◎なぜリベラルアーツで「構想力」が磨けるのか?
◎どうすれば論理と直感を使いこなせるのか?
◎なぜ「逃走」が、最も有効な生存戦略なのか?「20世紀的優秀さ」は終わりを迎える
今すぐ思考・行動をアップデートせよ!近年、社会構造の変化やテクノロジーの進化に伴い
個人や企業は、新しい考え方や成功モデルへの書き換えを求められている。資本主義社会で、これまで長いこと評価されてきた能力や資質は、
今や飽和状態となり、急速に凡庸なものへと変わりつつある。サイエンスで導き出した答えがコモディティ化する時代、
「正解を出す力」に、もはや価値はない。モノが過剰で、意味が枯渇する時代に、
「役に立つモノ」を作り出す力は価値を失う。本書は、今起こっている社会構造の変化を
「6つのメガトレンド」として読み解き、
これから求められる、24個の新時代の思考・行動様式を、
オールドタイプ(旧型の価値観)からニュータイプ(新型の価値観)への
シフトという形で解説する。★「オールドタイプ」から「ニュータイプ」へ
・「正解を探す」→「問題を探す」
・「予測する」→「構想する」
・「KPIで管理する」→「意味を与える」
・「生産性を上げる」→「遊びを盛り込む」
・「ルールに従う」→「自らの道徳観に従う」
・「一つの組織に留まる」→「組織間を越境する」
・「綿密に計画し実行する」→「とりあえず試す」
・「奪い、独占する」→「与え、共有する」
・「経験に頼る」→「学習能力に頼る」……他
これまでは、
「様々な問題を解決する人=正解を見つけ出す人」
が高く評価されてきましたが、
これからは正解ではなく
「問題」自体を自ら見つけ出す人が
評価される時代が来ると著者は言います。
それはなぜでしょうか。
それは今まで経済や社会が急速に発展していくなかで、
不満や不安、不便といった、
いわゆる「問題」が山積みで、
それをいかにスピーディーに、効率的に、
そして粘り強く解決していくかが
求められてきた時代であったためです。
しかし時代は変わり、
モノや解決策が過剰にあふれた昨今では
不満や不安、不便を感じることが少なくなり、
逆に「問題の希少化」という事態を
生み出すことになってしまいました。
またAIやIoTの進化により、
そういったテクノロジーが人間よりも速く
解決策を提示してくれる時代も
目の前に迫っています。
だからこそニュータイプの人間には、
「問題を見出し、他社に提起する能力」
が求められるというわけです。
「でもどうやったら問題を
見つけることができるの?」
そんな声が聞こえてきますが、
著者はそこにもしっかりと言及をしています。
ぜひこの続きは実際に本を読んで
理解していただきたいところです。
そもそも「問題」の定義から分かりやすく
解説してくれていますので、
自分もニュータイプ人間に一歩近づけそう
だときっと勇気をもらえるはずです。
ルールになんて従わなくて良い!自らの道徳観に従うのだ!
わがままという言葉を聞くと、
一般的にはネガティブなイメージが
大いにあるかと思います。
ただ、この本では『わがままこそ最高の美徳』という
著名な作家ヘルマン・ヘッセのエッセイを引用し、
「わがまま」の重要性を説いていきます。
「決められたルールに従う」ことが良いことだと
幼少のころから言い聞かされて
育ってきた私たちにとっては少しショッキングな
内容のように思えます。
これに対しても著者は実際に起こった事例を
用いながら冷静に、ルールに従うことの危険性を
提示していきます。
では、何に頼って判断をしていくべきなのか
という命題に対してもまた、
グーグルの企業理念を例に出し、
「己の価値観や美意識=わがまま」
に従う必要性を丁寧に読者に伝えます。
ルールではなく、自分の内側に確固として
持っている道徳観に従うというニュータイプの人間は、
どこか昔の武士道にも通じるものがあり、
そういった意味では歴史から学ぶ大切さや自分を
律することの大切さも合わせて教えてくれます。
一つの組織に留まっていては勿体ない!組織間を越境して働こう!
市場が「巨大組織」と
「フリーエージェントを中心とした
プロジェクト的な組織」
の二極化傾向が強くなっているこの時代に、
私たちはこの両方を選択するべき
だと著者は強調します。
それをナシ―ム・タレブの
『バーベル戦略』を例に出し、
読者を共感させていきます。
これは、極端にリスクの異なる2つの職業を同時に持つ、
という戦略のことで
「90%会計士、10%ロックスターという生き方」
という分かりやすい例えで説明しています。
詳しくはぜひ本を読んで納得していって
いただきたいのですが、
曖昧で不確実で予測ができないという、
いわゆる「社会のVUCA化」が進む昨今には
生活を破綻させないためにも
このバーベル戦略は正しいものであることを
容易に理解させてくれることでしょう。
終身雇用というシステムの下、
「一意専心」「一所懸命」という価値観で
働いてきた日本人にとっては少し寂しい気もしますが、
これが現実としっかりと受け止めて、
変わっていかなければならないと
改めて覚悟を持たせてくれる、
そんな内容でもあります。
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