中山七里『セイレーンの懺悔(小学館文庫)』あらすじと感想!ドラマは新木優子主演

 

今回ご紹介する一冊は、

中山 七里(なかやま しちり)

『セイレーンの懺悔』

です。

 

『セイレーンの懺悔』は、

「どんでん返しの帝王」

と呼ばれる

中山七里さんの作品です。

 

主人公の朝倉多香美は、

帝都テレビの

昼のニュース番組の

「アフタヌーンJAPAN」

のリポーターで、

 

番組存続の危機のため、

少女誘拐殺人事件の

スクープを追って奔走します。

 

その中で、殺害された少女が

いじめを受けていたのでは

ないかという証言を得て、

 

その近辺を探っていくうちに、

犯人グループだと

思われるような会話を

録音することに成功しました。

 

しかし、本当の犯人は

別にいるのではないかと

思われる中で、

 

テレビ番組がその様子を

公開してしまいます。

 

本当の犯人は誰なのかを

推理していくミステリーであり、

現代社会のメディアの在り方を

読者に問う、

強いメッセージ性のある

小説です。

 

 

 

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中山七里『セイレーンの懺悔』 メディアに関する描写の再現度の高さ

 

 

マスコミは人の不幸を娯楽にする怪物なのか

葛飾区で女子高生誘拐事件が発生し、不祥事により番組存続の危機にさらされた帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」の里谷太一と朝倉多香美は、起死回生のスクープを狙って奔走する。
しかし、多香美が廃工場で目撃したのは、暴行を受け、無惨にも顔を焼かれた被害者・東良綾香の遺体だった。綾香が”いじめられていた”という証言から浮かび上がる、少年少女のグループ。主犯格と思われる少女は、6年前の小学生連続レイプ事件の犠牲者だった……。
マスコミは、被害者の哀しみを娯楽にし、不幸を拡大再生産する怪物なのか。
多香美が辿り着く、警察が公表できない、法律が裁けない真実とは――
「報道」のタブーに切り込む、怒濤のノンストップ・ミステリ。

【編集担当からのおすすめ情報】
解説は、ジャーナリストの池上彰さん。

 

 

『セイレーンの懺悔』を

読んでいて驚いたことが、

警察官やマスコミの関係

などのメディアに関する

描写の再現度の高さです。

 

警察庁にある記者クラブの、

少し汗臭いにおいが

することや、

警察の情報公開に対する

メディアからの圧力、

 

新聞社の朝刊に

間に合わせるための

タイムリミットの様子など

が忠実に再現されているようで、

 

とても面白いと感じながら

読むことができました。

 

主人公が所属している

テレビ番組がBPOから

勧告を受けたときの

その会社の社員たちの対応も

まるで現実化のように書かれており、

 

視聴率がすべてだという

テレビ業界の現状などが

視ることができて、

知的好奇心が満たされました。

 

テレビのリポーターと警察官

との言い争いの場面や、

実際の備考の様子、

事件が起こった時の

警察官の対応なども

忠実に再現されており、

とても面白かったです。

 

 

 

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中山七里『セイレーンの懺悔』 最後の最後でどんでん返し

 

中山七里さんの小説は

何冊か読みましたが、

どの作品も最後の最後で

どんでん返しが起こり、

毎回最後まで犯人が

分からない展開が印象的でした。

 

この『セイレーンの懺悔』でも、

どんでん返しが待っていました。

 

この作品は、

物語の全体として、

メディアの在り方に

対する強いメッセージ性

があると感じ、

 

最後の数ページまでは、

この人が犯人だろうと

検討が付いてしまうような

状態でした。

 

その状態の中で、

少し物語が停滞しだして、

早く犯人を暴いて欲しいな、

と思いながら読んでいると、

 

ラストの16ページで

事態が急展開し、

衝撃の人物が犯人と

なりました。

 

あまりにも衝撃的な

ラストでとても驚きました。

 

そのラストのために、

少し物語が停滞したかなと

思っていた部分に

伏線が含まれていること

が分かり、

 

やっぱり中山七里さんは

さすがだなと感じました。

 

またこのどんでん返しの

爽快感を味わいたいので、

別の作品も読んでみたいと

強く感じました。

 

 

 

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中山七里『セイレーンの懺悔』 メディアの在り方に関する中山七里さんからの強いメッセージ

 

この作品では、

メディアの在り方について、

中山七里さんの強い

メッセージが現れている

ように感じました。

 

この作品の題名でもある

セイレーンは、

ギリシャ神話で

船乗りたちを美しい歌声で

遭難させる伝説がある生物です。

 

このセイレーンの様に、

耳触りの良い情報や、

視聴者が興味を持つような

内容のみをテレビで流して、

 

その視聴者を惑わせることが、

まるで日本のメディアのようだと

『セイレーンの懺悔』の中の

登場人物が言ったことが

とても腑に落ちました。

 

コロナウイルスに関する

ニュースでも、

感染者数が何人を超えたなど、

不安をあおる様なことばかり

を放送して、

 

本当の情報がまるで

埋もれてしまっている

ように感じています。

 

また、

『セイレーンの懺悔』の中で

殺害された少女は、

 

高校生で未成年である

のにもかかわらず、

テレビや新聞などの

メディアのリポーターが

その近辺に強引に

インタビューを

仕掛ける様子や、

 

被害者の少女の弟が

まだ小学生であるのに

もかかわらず、

 

その弟に強引に取り囲んで

インタビューをする様子など

がまるで現実の様に書かれており、

とても胸が痛みました。

 

現在のメディアの視聴率が

すべてだという状況を

どうにかして変えていかないと、

少しゆがんだ世界になるな

と感じました。

 

 

 

 

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