朝井リョウ『どうしても生きてる』内容あらすじと感想!「流転」他珠玉の短編集

 

今回ご紹介する一冊は、

朝井リョウ

『どうしても生きてる』です。

 

朝井リョウさんは

『桐島、部活やめるってよ』で

デビューし

その後『何者』で

初の平成生まれの直木賞作家

となりました。

 

彼の小説に出てくる人達は

いつもそれぞれの

悩みを抱えていて、

それを隠したまま互いに

表面的な付き合い

をしています。

 

現実社会でも多くの人は

本心を隠したままの

営業スマイルを

している日々のなか、

 

どこに真実があるのか

わからないところも

描かれているところも

魅力を感じます。

 

特に『どうしても生きてる』では

「リアル。熱。切実さ。本

音。嘘のなさ」

が頭にあっても

現実はなかなか

思うようにいかないものだと

実感します。

 

日々悩んだり、ぶつかりあい、

苦しんだり、

悲しんだりしている姿

を読んでいるうちに

 

「こんなんじゃ駄目だ」と

いつも嘆いている私も

まだまだと反省する

くらいです。

 

不思議と元気になれる部分も

あるのでお話していきます。

 

 

 

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朝井リョウ『どうしても生きてる』健やかな論理

 

歩き続けるのは前に進みたいからではない。
ただ止まれないから。それだけなのに。

デビューから10年 。
進化し続ける著者の最高到達点。

死んでしまいたい、と思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。
『健やかな論理』
家庭、仕事、夢、過去、現在、未来。どこに向かって立てば、生きることに対して後ろめたくなくいられるのだろう。
『流転』
あなたが見下してバカにしているものが、私の命を引き延ばしている。
『七分二十四秒目へ』
社会は変わるべきだけど、今の生活は変えられない。だから考えることをやめました。
『風が吹いたとて』
尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が映されているような気がした。
『そんなの痛いに決まってる』
性別、容姿、家庭環境。生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。
『籤』

 

 

普段の生活のなかで

ニュースを観ながら

その人に直接言っているわけ

ではないけど

つい攻撃していることがあります。

 

その原因がある漫画にある

とすれば

「こんな漫画を読んでいたからでは?」

「満たされないから他人を

攻撃するのでは?」

などと言ったりします。

 

補足で

「満たされている自分は

他人を攻撃しない側の人間で

そんな漫画も読まない」

などと自分を

擁護したりもします。

 

実際には漫画を読んでいても、

離婚を申し込まれても、

満たされなくても

自殺したり人を殺したりする

ことはありません。

 

まさに自分と他者、

幸福と不幸、

生と死に

明確な境目などはありません。

 

私もそうですが、

ほぼない境目のなかで

実際起きている自殺、

殺人などをみて

私はその人とは違う

種類の人間だと思うことで

 

安心しつつも不

安になりながらも

日常生活をしています。

 

通勤中にふと自殺した人も

「自分がいる場所。なんか、もう、いっか。」

と考えているときに

目の前を走る電車に

驚かされることもあります。

 

そんな時にこの世界から

消えてしまいそうな自分と

 

もう少し生きていきたい、

誰かを大切に想いたい自分

がいることに私自身共感します。

 

 

 

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朝井リョウ『どうしても生きてる』流転

 

テレビの中から差し出された

のは

「リアル。熱。切実さ。本音。嘘のなさ」

 

でそれは自分の中だけで

唱えていた言葉でした。

 

「そう思っている自分を好きなだけだ」

と友人に助言された時も

言い返すこともできないまま

日々を過ごしている経験は

私にもあります。

 

多くの人達は

「負けても、辛くても、

泣いても、打ちひしがれても、

絶望しても自分に嘘だけはつくな、

自分だけは裏切るな」

と口を揃えて言います。

 

もうリアルかフェイクかなんて

どうでもよくなっていた時に

 

「大切なのって、

嘘がないってことなのかも」

 

「漫画をやめた理由も、

ほかのことに対する理由も、

自分に嘘をついて、

勝手に他人に託さないで」

 

などの声が

注がれたりもします。

 

それを聞いたときに

「どうすればよかったのか」

「貫いてまっすぐに歩いていけば

今とは違った未来があったのか」

 

などもつい自分に

置き換えて考えてしまいます。

 

結局のところ、

どう生きたとしても

後ろめたさの残る歴史を

歩み続ける以外に

人生の選択肢はない

のかもしれません。

 

 

 

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朝井リョウ『どうしても生きてる』籤(くじ)

 

人事の採用面接で

「新しい人を雇うときに

重要なポイントは、

経験でもスキルでもなくて、

プライドのなさだと思うよ。」

「自分の人生がこんなところで

終わるはずはない、

って気持ちが一番

厄介だし邪魔になる」

の言葉に本当にそう思います。

 

いわゆる“感じの良さ”は

他に多くあるはずの

細かな評価項目

を勝手に曖昧にして

しまっているようです。

 

上司はなんでも

言ってというけれど、

何でも洗いざらい

吐露すること、

人間が抱く醜さを

抉り出すこと

はとても難しいことです。

 

なぜならば、

”誤魔化しのなさ”、

”嘘のなさ”

快感を生むほどの”正直さ”

だなんて褒めそやされるのは

暗転がある世界での

出来事だからです

 

現実に”むき出しの人間臭さ”

自分以外の誰かが

受け取ってくれるのは

甘えだけで

それを口にはできずに

日々は流れていくものです。

 

暗転してくれること

などないのです。

 

相手が自分は醜いと

明かしてきたとして

自分もそうであると

明かしたとしても

何の区切りも

つかないものです。

 

なのに、吐露した相手は

すんなりと悦に入る

ことができるのは

 

それを”自分の強さ”、

”誠実さ”だと

勘違いしているに

違いありません。

 

それに吐露して1秒後には

新たな自分が始まると

思っているなんて

不思議さも感じます。

 

結局、”人は意地悪”

なのかもしれません。

 

それはきっと心が

他の人には

見えないから

つくろって生きていても

 

それを暴かれることはなく

日々が流れていくからです。

 

ただ言えるのは

”正直じゃなく”、

”心に嘘がある”などを

抱えていても人は

『どうしても生きてる』

ということです。

 

 

 

 

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