今回ご紹介する一冊は、
暁 佳奈(あかつき かな) 著
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
です。
作者の暁佳奈さん。
第5回京都アニメーション大賞小説部門
で同賞初の大賞を受賞し、
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
でデビューしました。
上下巻と外伝、
エバー・アフターの4冊で
作品展開されています。
京都アニメーションでアニメ化され、
美しい世界観と
感動的なストーリーで
人気作品になりました。
現在、映画が上映されています。
目次
暁佳奈『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 世界観とストーリー
『自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)』その名が騒がれたのはもう随分前のこと。 オーランド博士が肉声の言葉を書き記す機械を作った。 当初は愛する妻のためだけに作られた機械だったが、いつしか世界に普及し、それを貸し出し提供する機関も出来た。 「お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです」 物語から飛び出してきたような格好の金髪碧眼の女は無機質な美しさのまま玲瓏な声でそう言った。 ≪第5回京都アニメーション大賞 初の大賞受賞作!≫
世界観は中世ヨーロッパを
思わせるような大戦が
終わったばかりの世界です。
煉瓦造りの建物や道で
街はできていて、
シックな世界観です。
元少年兵であった主人公の
少女ヴァイオレット・エヴァーガーデン
は孤児でした。
軍のギルベルト少佐が面倒を
見てよくしてくれていました。
大戦が終わって、
軍に場所がなくなってしまった
ヴァイオレットは少佐の知り合いで、
元軍人だったホッジンズが
始めた会社C.H.郵便社に
勤めることになりました。
まだ文字が読み書きが
できる人が少なく、
手紙でのやりとりが
主流であったため、
代筆屋としてお客様の為に
代筆をする自動手記人形
(オート・メモリーズ・ドール)
となって世界各地を周ります。
そのお客様先での話になっています。
軍にいたことから感情が乏しく、
自分の感情というものが
分からないヴァイオレット自身も
過去のギルベルト少佐から
「愛している」と言われた言葉
の意味を探し、
お客様と接触したことによって
生じた気持ちをひとつひとつ
理解していくというお話しです。
暁佳奈『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 アニメの見どころ
アニメの見どころはやはり、
文字だけでは表現しきれない部分
を補い、
京都アニメーションならではの
手の込んだ作画によって
作り出される美しい風景が
見どころだと思います。
小説では登場人物達の気持ちが
細かく描写されているところは
小説のいいところです。
アニメでは言葉だけでは
表現しきれない表情や音、
風景を表現することができます。
小説で読んだ感動的なシーンでは、
アニメではよりよく表現されていて
ついつい泣いてしまいました。
京都アニメーションのアニメは
よく見ますが、
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
は特に綺麗に風景が描かれ、
ヴァイオレットの人形のように
美しい姿がうまく描かれています。
まさに息を呑むような作品です。
暁佳奈『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 好きなストーリー
私がこのシリーズで好きな話は
小説では上巻の
「少女と自動手記人形」、
アニメ版では10話の
「愛する人はずっと見守っている」
という話です。
ここからはこの話の
説明をしていくので、
ネタバレになってしまいます。
苦手な方はお気を付けてください。
病気の母と娘のアンの元にある日、
ヴァイオレットは向かいます。
アンはヴァイオレットを不審に思い、
アンから母を取った存在でした。
母とヴァイオレットは何か
ずっと手紙を書いています。
アンにとってはもうすぐ
病気で死んでしまう母親との
二人だけの時間を奪われたの
ですから当然です。
しかし、段々とアンは人形の様に
美しく毅然としている
ヴァイオレットのことを
慕うようになります。
それでも子供心に母が手紙を
書くことによって弱っていく姿
を見て耐えられません。
もう辞めてと言っても
取り合ってくれず、
自分はいらない子供なのか
と考えてしまいます。
しばらくしてヴァイオレットは去り、
母は亡くなってしまいました。
それからアンは一人で
生きていかなくてはいけません。
母が死んでから初めての誕生日に
アンは母が何故大量の手紙を
あの時書いていたのか知ります。
母からの手紙が届いたのです。
そして毎年続きます。
その度に母から見守られ
愛されていることを
実感するのです。